古代東アジアにおける造瓦技術の変遷と伝播に関する研究

2005 Fiscal Year Annual Research Report

• Project/Area Number: 17202022
• Research Institution: National Research Institute Cultural Properties, Nara
• Principal Investigator: 毛利光 俊彦 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, センター長 (00099962)
• Co-Investigator(Kenkyū-buntansha): 山崎 信二 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 史料調査室長 (10090375) ; 花谷 浩 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 飛鳥藤原宮跡発掘調査部, 遺構調査室長 (70172947) ; 小澤 毅 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 埋蔵文化財センター, 保存修復工学研究室長 (00214130) ; 林 正憲 独立行政法人文化財研究所奈良文化財研究所, 平城宮跡発掘調査部, 研究員 (10360851) ; 亀田 修一 岡山理科大学, 総合情報学部, 教授 (10140485) ; 佐川 正敏 東北学院大学, 文学部, 教授 (40170625)
• Keywords: 考古学 / 瓦 / 製作技術

Research Abstract

東アジアの瓦研究は、日本の飛鳥・白鳳期を例にとってもいまだ文様論が主体であり、製作技術を含めた総合的な変遷観を確立するにいたっていない。一方、韓半島の瓦の研究も、近年かなりの進展をみせているとはいえ、製作技術にまで及んだ考察は少なく、中国の南北朝以降の瓦研究にいたっては、ようやく緒に就いた段階である。したがって、系統だった編年案もなく、製作技術に触れた論考も僅少で、眠ったままの資料も多い。本研究は、こうした現状に鑑み、日本・韓半島・中国のとくに8世紀初頭頃までの瓦について、それぞれの国ごとに文様や製作技術の詳細かつ総合的な変遷観を確立すること、そして国を越えた文様・技術伝播の様相を明らかにし、各国の造瓦組織の実態を解明することを目的にしている。
初年度にあたる本年度は、日本の白鳳期の標式瓦である紀寺式・法隆寺式およびこれらの系統を引く瓦を取り上げて分析をおこなった。また、国内の大学・博物館等が所蔵する韓半島・中国出土瓦の実査を開始するとともに、報告書などから韓半島・中国の瓦に関するデータを収集・整理する作業をおこなった。そして、韓国・中国の研究協力者との協議を経て、今後4箇年にわたる瓦調査と研究者交流の計画を立案し、それに基づき、現地での瓦調査に着手した。
韓国では、まず慶州国立博物館と国立慶州文化財研究所の協力を得て、慶州地域出土の古新羅〜統一新羅初期の瓦を調査した。一方、中国では、中国社会科学院考古研究所と大同市考古研究所の協力のもと、北魏の平城城と東魏北斉の〓城の瓦調査を実施した。これらにより、各々の地域における当該期の製作技術について、一定の見通しを得ることができた。さらに、そうした成果を受けるかたちで、両国の研究者を日本に招聘し(韓国1名・中国2名)、日本との比較を中心に、意見交換をおこなった。