2006 Fiscal Year Annual Research Report
多様化し複雑化する国際家族紛争に対応する国際家事手続法制の整備に関する調査研究
Project/Area Number |
17203006
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡辺 惺之 立命館大学, 大学院法務研究科, 教授 (30032593)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
木棚 照一 早稲田大学, 法学部, 教授 (90066697)
櫻田 嘉章 京都大学, 大学院法学研究科, 教授 (10109407)
二宮 周平 立命館大学, 大学院法務研究科, 教授 (40131726)
佐上 善和 立命館大学, 大学院法務研究科, 教授 (50081162)
酒井 一 立命館大学, 大学院法務研究科, 教授 (70248095)
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Keywords | 裁判管轄 / 外国離婚の承認 / 離婚禁止国 / フィリピン家族法 / ベトナム婚姻家族法 / ドイツ家事手続法 |
Research Abstract |
アジア地域での渉外家事紛争法:フィリピン法は離婚を認めていないが、判例により、外国人間の離婚、フィリピン人と外国人間の離婚の効力は、外国人については承認されるとされている。しかし、フィリピン国籍者については離婚の効力は国内では認められない。外国での離婚が調停で行われた場合の取扱については不明である。ベトナム婚姻家族法は、協議離婚の及び一方の申立による協議離婚等の離婚手続規定の整備を図り、また、渉外離婚に関する規定もあるが裁判管轄、外国で得られた離婚の承認や日本調停離婚の取扱などは明らかではない。アジア諸国での渉外家事手続は徐々に整備されつつあるが、その内容には不明確なところもあり、規定が欠けているところもある。従って、例えば、わが国の調停などの効力については不透明な点があり、なお、調査を続ける必要がある。 ヨーロッパにおける動向:ヨーロッパの統一家族法に向けた動きは始まっているが、内容的にも実際の動きもまだ萌芽期であり、その初期の方向性として家族関係形成に関する当事者の意思を重視する方向が注目される。しかし、当面のヨーロッパにおける家族法の調和は抵触法システムによる方向にあることは確かである。裁判管轄、裁判承認のルール、抵触規定の整備に向け準備作業が進められているが、裁判管轄に関しては、構成国の国内法としての国際裁判管轄ルールとEUのルールとの間での内容的な重複や矛盾も現れており、ルール構成相互間での混乱も生じている。ドイツにおいては非訟事件手続法の全面改正が家事手続法改正の名称の下で進められているが、当初の予定より遅れている。渉外家事手続についての規定がまとめられる構想である。これらのヨーロッパにおける国際家事手続法の同行にもさらに注意を払い調査を続けたい。
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Research Products
(9 results)