2007 Fiscal Year Annual Research Report
多様化し複雑化する国際家族紛争に対応する国際家事手続法制の整備に関する調査研究
Project/Area Number |
17203006
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
渡辺 惺之 Ritsumeikan University, 法務研究科, 教授 (30032593)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
櫻田 嘉章 京都大学, 法学研究科, 教授 (10109407)
二宮 周平 立命館大学, 法務研究科, 教授 (40131726)
佐上 善和 立命館大学, 法務研究科, 教授 (50081162)
酒井 一 立命館大学, 法務研究科, 教授 (70248095)
中野 俊一郎 神戸大学, 法学研究科, 教授 (30180326)
|
Keywords | 台湾の離婚裁判管轄 / 台湾の離婚調停 / 台湾法における婚姻住所 / オーストラリア離婚法 / オーストリー国際家事手続法 / Cochemモデル |
Research Abstract |
平成19年度はアジア地域に関しては台湾(中華民国)を取り上げた。台湾法によると日本の家裁の調停離婚は、外国判決の承認に準じて取り扱われることになり、原則的に承認されると考えられる。同国では、夫婦の住所は戸籍上の住所地にあるという実務における通説が、国際離婚の裁判管轄にも影響を及ぼし、台湾籍の夫と外国人妻との離婚の場合、台湾には原則的に住所地管轄が認められている。これが外国離婚の承認に際して、場合により障害となる可能性がある。台湾は現在国際私法典の改正案を上程しているが、これによると離婚準拠法は両性平等の観点から大きく改められ、共通の本国法、共通の住所地法、婚姻締結の準拠法という順序での段階的連結が考えられている。 オーストラリアに関しては、昨年度に調停制度の改正があり、離婚する両親の間の子供の保護を中心とした新しい調停システムの導入が図られた。同国では離婚調停は裁判外の手続であり、調停により離婚することはできないが、調停で合意に達した場合、裁判所の審査を経て裁判所により離婚が宣告され、また、調停による合意が裁判所の命令として下される。日本の調停離婚の承認は必ずしも明らかではないが、裁判所による決定として承認されるとする見解が有力であった。 オーストリーでは離婚は裁判所によってのみなされるが、両当事者の合意ある場合は審理は簡略化される。調停による離婚はできないが、そこで合意に達しった場合には、合意ある裁判離婚が可能となる。調停手続では、新たに離婚する両親の子供に与える影響を緩和する視点から、いわゆるCochemモデルの導入が図られている。これまでの研究調査から、家事調停に関しては、アジアモデルともいうべき裁判手続としての調停と、欧米モデルとも云うべき、裁判外の専門家による調停とがあり、その相互間での法的効力の通用化のためには、手続や条件に関しての検討が必要と思われる。
|
Research Products
(12 results)