2006 Fiscal Year Annual Research Report
民主主義体制の諸形態および当該体制の長期的持続における価値規範の役割
Project/Area Number |
17203010
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
恒川 惠市 東京大学, 大学院総合文化研究科, 教授 (80134401)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
飯田 文雄 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (70184356)
遠藤 貢 東京大学, 大学院総合文化研究科, 助教授 (70251311)
出岡 直也 慶應義塾大学, 法学部, 助教授 (50151486)
浅見 靖仁 一橋大学, 大学院・社会学研究科, 教授 (60251500)
大西 裕 神戸大学, 大学院・法学研究科, 教授 (90254375)
|
Keywords | 民主化 / 民主主義 / 構成主義 / コンストラクティビズム / バロメーター |
Research Abstract |
「民主主義体制を長期的に持続させる基本的要因は、長期にわたる紛争や抑圧を経験する中で人々が民主主義的な手続きを遵守することの重要性や不可避性を学習することである」という本研究の基本仮説を検証するために、本年度は世論調査分析を本格的におこなった。主に使ったデータはAsia Barometer 2003とLatinobarometro 1996-2004である。因子分析によって個々人の民主主義へのコミットメントを計る合成変数を作り、それを従属変数とする多変量回帰分析をおこなった。その結果、ラテンアメリカについては、個々の国の経済状況や個々人の経済的地位よりも、個々人が政治環境を認識する能力(教育水準、新聞購読など)や個々の国で民主主義手続きが守られている程度のほうが、市民の民主主義コミットメントと有意に関連する度合いが強いこと、民主化前に抑圧的な体制を経験した国ほど、市民の民主主義へのコミットメントが強いこと、抑圧の対象となった左派ほど民主主義コミットメントが強いことなどが明らかとなった。これらの結果は上の仮説を支持するものである。しかしアジア諸国については、国の間の相違が大きく、全体としてラテンアメリカのような明確なパターンは見られない。Asia Barometer 2003は国によってデータが都市部のみに偏っている、インドネシア、フィリピンなど重要な国が調査対象に入っていないなどの問題があるので、種々の世論調査データを補完的に使って追加作業をする必要があることがわかった。以上の研究成果は、世界政治学会(福岡7月)、日本国際政治学会(木更津10月)、アジア政治研究連盟(上海10月)において本科研費メンバー数名によって発表された。本科研費チームが組織した世界政治学会のセッションに招聘したアルゼンチン人研究者からは、ラテンアメソカについての上記分析結果について、非常に有意義だとのコメントを得た。
|
Research Products
(7 results)