2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17203020
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Research Institution | Hitotsubashi University |
Principal Investigator |
北村 行伸 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70313442)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高山 憲之 一橋大学, 経済研究所, 教授 (30102940)
斎藤 修 一橋大学, 経済研究所, 教授 (40051867)
安田 聖 一橋大学, 経済研究所, 教授 (70115955)
渡辺 努 一橋大学, 経済研究所, 教授 (90313444)
祝迫 得夫 一橋大学, 経済研究所, 助教授 (90292523)
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Keywords | 若年層の就業環境 / 女性の就業率 / 合計特殊出生率 / 所得格差の拡大 / 所得再分配 / 世代間の再分配 / 世代内の再分配 / 介護保険 |
Research Abstract |
平成17年度における研究実績の概要は以下のとおりである。 1.近年、若年層の就業環境悪化が顕著である。完全失業者やフリーター層が増大しているだけでなく、就職活動を行っていないニート状態の無業者も増加している。 2.小中学生時点で具体的な職業希望を保有していた人の方が保有していなかった人よりもやりがいのある仕事に就いた割合が高い。この点が20〜49歳対象の調査から判明した。 3.OECDデータを利用し国際比較を行いパネル推計をした結果、1980年当時のデータでは女性の就業率が高い国ほど合計特殊出生率は低くなる傾向が見いだされたものの、その後は、こうした負の相関は薄れ、直近のデータでは正の相関も見られるようになっている。 4.女性の活用指標が高い国では国際競争力が高まり、女性が活躍しやすい状況を作りだしている企業では、業績が向上している。 5.1980年代から1990年代にかけて日本の所得格差は拡大した。その格差拡大の6割程度は人口高齢化や世帯規模の縮小によって説明できるものの、若い年齢層における所得格差も拡大している。 6.日本の所得再分配政策は、ほとんど世代間で行われており、同一世代内における再分配は近年、かなり限定的である。 7.2000年度に日本で導入された介護保険の目的は社会的入院を是正し、医療費を効率化させることにあった。その目的が実際に達成されたかを国保レセプトデータを用いて調べた結果、特例許可病院では介護保険導入前と導入後しばらくの間は老人の退院確率が著しく上昇したものの、導入2年後の2002年度には老人の退院確率が低下していたことが確認された。社会的入院を含む長期入院患者に対する介護保険導入の効果は一時的なものにとどまったと推察される。
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Research Products
(23 results)