2008 Fiscal Year Annual Research Report
経済政策企画立案手法の効率化の分析-実験・実証的手法のフィージビリティスタディー
Project/Area Number |
17203023
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
中川 雅之 Nihon University, 経済学部, 教授 (70324853)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
三橋 博巳 日本大学, 理工学部, 教授 (50059862)
浅田 義久 日本大学, 経済学部, 教授 (70299874)
加藤 一誠 日本大学, 経済学部, 教授 (60290269)
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Keywords | マンション建替え / 花粉症対策 / Framed Field Experiment / 自発的支払メカニズム / 固定費用負担比率メカニズム / 支払意志額 |
Research Abstract |
前年度に実施した、マンション建て替えを対象とした、メカニズムの異なる公共財供給手法に関するFramed Field Experimentの分析を行い、政策インプリケーションの導出を行った。理論の予想どおり、賛成・反対というメッセージしか発することのできない投票メカニズムにおいては、建替えが失敗するケースにおいても、固定費用負担比率メカニズムや自発的支払メカニズムではマンション建替えに成功すること。真の支払意志額が低いものである場合には、過小な支払意志額表明のインセンティブを持つ固定費用負担比率メカニズムは、非効率的な結果をもたらす場合があるなどの結論を得ることができた。 また2007年度までの研究で明らかにされた課題を解決するために、2008年度は地方公共財の例として花粉症対策事業を題材とする地方公共財実験を実施した。花粉症対策事業は1)多くの人々にとって身近な地方公共財であり、被験者への説明が比較的簡単であること、2)地方公共財から受ける便益が部分的に推計されていること、3)被験者本人の罹患状況が確認しやすいことなどから課題を解決するための実験題材として望ましいものと言える。題材となる地方公共財が異なることに加え、最低投資額を設定しないことと成果報酬が導入されている点が2007年度の実験と異なっている。それ以外の設定はほぼ同じである。 実験の結果、a)事前のCVM調査が後続する実験での行動には影響しないこと、b)固定報酬では被験者の行動を適切に誘発できていない可能性があること、c)成果報酬の場合、税金メカニズムの方が募金メカニズムと比べて平均回答額が3倍近く大きくなること、4)被験者が花粉症であるかといった個人属性が回答に大きな影響を与えていることなどが明らかになった。これらの結果はいずれも政策評価のための実験的手法の有効性を考える上では極めて興味深い結果と考えられる。
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Research Products
(11 results)