2007 Fiscal Year Annual Research Report
アンケート調査と経済実験による資産選択と貯蓄・消費行動の分析
Project/Area Number |
17203025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
筒井 義郎 Osaka University, 大学院・経済学研究科, 教授 (50163845)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
池田 新介 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (70184421)
大竹 文雄 大阪大学, 社会経済研究所, 教授 (50176913)
書間 文彦 早稲田大学, 商学学術院, 教授 (00063793)
井澤 裕司 立命館大学, 経済学部, 教授 (70222924)
堀 敬一 立命館大学, 経済学部, 教授 (50273561)
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Keywords | 気質効果 / 損失回避 / bid-ask bounces |
Research Abstract |
値下がりした株を、値上がりした株より売却しやすいというdisposition effect(気質効果)が株式取引において存在することを確認するために、1ヶ月にわたり27名の被験者に実際の過去の株価データを毎日4時間半提示して売買取引を行ってもらう「1ヶ月実験」を昨年度実施したが、半数程度の被験者が予想を遙かに超える取引を行い、予想以上の利益を得た。この予想外の行動は、おそらく被験者が取引を続けていくうちに、かなりの確率で利益を得ることができる取引手法を発見したためであろうと想像され、現実の株式市場では通常このような利益を得られる機会はほとんどないので、この人たちのデータを用いて気質効果を検証することは適切でないと考えた。この問題に対処するため、100万円を今年度に繰り越し、新たな設定の下で、1ヶ月実験を実施した。具体的には、まず、bid-ask bouncesを用いて利益をあげる機会を排除するため、現実の取引価格ではなく、提示された最高の買値価格(bid)と最低の売値価格(ask)の平均価格を被験者に提示することとした。また、できるだけ、価格が階段状に上下を繰り返す銘柄を避けた。このように設計した新しい実験計画で、39人を対象として実験したところ、昨年度のように、予想を遙かに超える取引回数や利益という現象は見られず、この点で予想と整合的な実験結果を得ることに成功した。ただし、貴重な国民の財産で実施した昨年度のデータを利用しないのはもったいないので、今年度、disposition effectの検証を行い、また、ゼミナールの教材に用いた。その結果、十分な有意性はもっていないものの、disposition effectが存在し、それは、被験者の損失回避度と関連していることが認められた。
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