2006 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀汚染による生活障害とその回復・支援策に関する総合的研究
Project/Area Number |
17203033
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Research Institution | Kurume Institute of Technology |
Principal Investigator |
丸山 定巳 久留米工業大学, 工学部, 教授 (00039968)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
成 元哲 中京大学, 社会学部, 助教授 (20319221)
牛島 佳代 福岡大学, 医学部, 助手 (10336191)
田村 憲治 国立環境研究所, 環境健康研究領域, 主任研究員 (10179898)
向井 良人 熊本保健科学大学, 保健科学部, 講師 (50315280)
川北 稔 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (30397492)
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Keywords | 環境と健康 / 地域社会のQOL / Social Capital / 生活障害 / ソーシャルサポート / 水俣病による健康影響 / 健康不安 / 水俣病被害の全体像 |
Research Abstract |
公式確認50年目にしてなぜ今なお1万人以上の人々が、自らの不健康を水俣病と訴えているのか。また、水俣病汚染地域として推定される不知火海沿岸地域において人々の健康を増進するためにはどのような政策が有効であるか。この問いに答えるために平成18年度は、前年度の調査を踏まえて、不知火海沿岸地域住民を対象に、史上初の標本調査を実施した。不知火海沿岸の南半分地域(芦北町、津奈木町、水俣市、天草市御所浦町、出水市、長島町)を、大字単位で水俣病補償者数(認定患者数と医療手帳交付者数の合計)と人口数で層化し、対象地区を抽出した。まず、全大字(合計172)のうち20大字を抽出し、次に、各大字から105人(40歳〜79歳、1世帯1人)ずつ抽出して、2100人を対象者とした。調査法は、事前に調査票を郵送し、後日、訪問回収する留置法である。 その結果、下記の知見が得られた。不知火海沿岸地域における人々の健康は自分の健康状態や補償水準だけでなく、他の人の健康状態や補償水準にも依存する。具体的には、第1に、自分が水俣病補償ステータス(水俣病補償という梯子)のなかでどこに位置するかによって健康度が変わる。第2に、同じ水俣病補償ステータスであっても、周囲に補償を受けた人が多い時は、その人のメンタルヘルスも下がる傾向がある。第3に、不知火海沿岸地域において最もメンタルヘルスが悪いのは、周囲に補償を受けた人がたくさんいて、なおかつ、最近、認定申請・保健手帳申請を行った人たちである。第4に、ソーシャルサポートがある人は、有意にメンタルヘルスがよい。以上、結論として、水俣病補償ステータスと周囲の補償状況との交互作用によって健康度が決まる。なお、性、年齢、婚姻状況、所得、学歴、基礎的ADL、魚介類の摂取状況を補正している。目下、これらの知見を英文ジャーナルに投稿するためにまとめつつある。
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Research Products
(3 results)