2007 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀汚染による生活障害とその回復・支援策に関する総合的研究
Project/Area Number |
17203033
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
成 元哲 Chukyo University, 現代社会学部, 准教授 (20319221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 佳代 福岡大学, 医学部, 助教 (10336191)
田村 憲治 国立環境研究所, 環境健康研究領域, 主任研究員 (10179898)
向井 良人 熊本保健科学大学, 保健科学部, 准教授 (50315280)
川北 稔 愛知教育大学, 教育学部, 講師 (30397492)
田中 美加 福岡大学, 医学部, 講師 (70412765)
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Keywords | 環境と健康 / 地域社会のQOL / 健康を決める社会的要因 / 水俣病補償者割合 / 個人の健康と地域の健康 / 地域特性 |
Research Abstract |
公式確認50年が過ぎて今なお2万人以上の人々が、自らの体調不良を水俣病と訴えているのか。また、メチル水銀汚染地域として推定される不知火海沿岸地域住民の健康度を規定する要因はどのようなものがあるのか、さらに、これらの人々の健康を増進するためにはどのような支援策が有効であるか。この問いに答えるために平成19年度は、17年度と18年度に実施した水俣病認定申請者と不知火海沿岸地域住民を対象にした聞き取り調査と調査票調査の結果を分析し、その成果を社会疫学に関するシンポジウムにおいて報告するとともに、国内外の学術雑誌に投稿する作業を行った。 その結果、下記の知見が得られた。不知火海沿岸地域における人々の健康は自分の健康状態や補償水準だけでなく、地域社会の健康度にも依存する。具体的には、第1に、水俣病に関する補償・救済を受けている者の割合が低い地区においては、補償を受給することはスティグマを伴い、健康度の悪化につながる。他方、水俣病の補償者割合が高い地区では、補償を受給することは地域社会から「承認」を得ることにつながり、補償による医療給付と経済的メリットを享受できるため、健康度が向上する傾向にある。第2に、水俣病の補償者割合の高低によって、地域社会において心身の健康や経済・社会生活にストレインがかかるvulnerable groupが交替する。不知火海沿岸地域においては、水俣病補償者割合という、この地域特有の特性が、個人ならびに地域の健康度を規定する主要な要因となっていることが明らかになった。
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Research Products
(1 results)