2008 Fiscal Year Annual Research Report
メチル水銀汚染による生活障害とその回復・支援策に関する総合的研究
Project/Area Number |
17203033
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Research Institution | Chukyo University |
Principal Investigator |
成 元哲 Chukyo University, 現代社会学部, 准教授 (20319221)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
牛島 佳代 福岡大学, 医学部, 助教 (10336191)
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Keywords | 水俣病 / 被害の全体像 / 生活障害 / 水俣病補償制度 / 魚の行商 / 食生活と健康 |
Research Abstract |
本研究は今なお水俣病を経験している不知火海沿岸地域住民を対象に、メチル水銀汚染による被害の全体像を実証的に把握し、その回復のための支援策を検討することを目指している。最終年度である平成20年度は、大きく次の三つの研究をすすめてきた。第1に、平成17年度の水俣病補償制度への新規申請者を対象とした調査(274名の調査対象者)、平成18年度の不知火海沿岸3市3町の地域住民を対象とした標本調査(1548名の調査対象者)、平成19年度の地域のキーパーソンに対する聞き取り調査(約50名の調査対象者))、これら3年間にわたる現地調査によって得られたデータを解析し、データベース化作業をすすめた。第2に、上記の調査結果を研究論文としてまとめて国内外の学術雑誌に投稿した。現段階で学術雑誌に掲載されたのが3本、紀要論文が2本で、合計5本である。他に、外国の専門の学術雑誌に投稿中の論文が2本ある。なお、これらの知見を専門研究書として刊行するために、データと文章をまとめなおす作業をすすめてきた。第3に、これらの論文製作作業と並行して、熊本県・鹿児島県において追加ならびに補充の聞き取り調査を実施した。特に、平成16年10月の関西訴訟最高裁判決後、熊本県・鹿児島県の広範囲な地域において水俣病総合対策医療事業の一環である保健手帳の申請者が大量に現れた。水俣病の地域的広がりを捉えるために、従来の国の汚染指定地域を遥かに越えて、不知火海沿岸地域から山間部や球磨川沿いの集落に至る地域に居住する保健手帳申請者に対する聞き取り調査を実施した。と同時に、不知火海沿岸地域から山間部への魚介類の行商ルートを解明すべく、めごいない(目籠担い)とその魚介類を食した住民の双方に対して聞き取り調査を実施した。これらの調査は現在進行中であるが、これまで4年間の調査研究で得た知見をまとめつつある。
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