2005 Fiscal Year Annual Research Report
高齢ドライバーの事故原因解明に向けたリスク運転行動と交通コンフリクトの実証的研究
Project/Area Number |
17203038
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Research Institution | Tezukayama University |
Principal Investigator |
蓮花 一己 帝塚山大学, 心理福祉学部, 教授 (00167074)
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Keywords | 高齢ドライバー / 運転パフォーマンス / 確認行動 / 速度行動 / 自己評価 |
Research Abstract |
本年度は、北海道・岩手・静岡の全国3ヶ所で、65歳以上の高齢ドライバー120名に走行実験を実施し、本研究室にて開発してきた高齢ドライバーの教育プログラムの効果を検証した。その際、教習所指導員の運転評価とともに、ビデオ映像を含む運転行動記録装置を車両に設置し、コンピュータのハードディスク上に基礎データを収集した。特に速度については、今まで車両の速度計により推定値を測定していたが、運転行動記録装置を使用することにより正確な速度をデジタルで記録・測定した。また、縦Gや横Gも測定することが可能となった。実施手続きとして、教育効果を調べるために、実験群(教育実施群)と統制群(教育未実施群)を設定し、教育の前後比較を行った。さらにフォローアップ調査として、教育を実施した日の約一ヶ月後にも調査を実施し、3回の調査でその効果を測定した。 研究の結果、高齢ドライバーへの教育効果は、教育直後に大きく効果が現われ、さらに教育実施後一ヵ月後もいくつかの指標で持続していることがわかった。特に運転技能領域である確認行動については、行動の改善が一ヶ月後も維持されており、一定の効果が実証された。確認行動の中でも重要な指標である見通しの悪い交差点においても効果が見られた。また、指導員評価項目においても、教育実施後に実験群で大きな上昇が見られ、一ヶ月後もほぼ維持されていたのに対して、統制群では変化は見られなかったので、実験群において教育効果の見られる結果となった。一方、自己評価が指導員評価を上回る過信傾向は、教育実施直後に実験群で消えたものの、一ヵ月後は相当程度元に戻っていた。しかし、過信傾向を示す自己評価と指導員評価のズレは、この時点でも統制群よりも実験群の方が小さかった。
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