2006 Fiscal Year Annual Research Report
多変数保型形式と代数的・幾何的不変量についての明示的研究
Project/Area Number |
17204002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊吹山 知義 大阪大学, 理学研究科, 教授 (60011722)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
坂内 英一 九州大学, 大学院数理学研究院, 教授 (10011652)
長岡 昇勇 近畿大学, 理工学部, 教授 (20164402)
渡部 隆夫 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (30201198)
小松 啓一 早稲田大学, 理工学術院, 教授 (80092550)
池田 保 京都大学, 大学院理学研究科, 教授 (20211716)
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Keywords | ジーゲル保型形式 / アーベル多様体 / ゼータ関数 / L関数 / 微分作用素 / 超特異 / モジュライ / Harder予想 |
Research Abstract |
2007年2月5日から9日にかけて、商工会議所研修施設、浜名湖カリアックにおいてSiegel Modular Forms and Abelian Varietiesという研究集会を主催した。広く両分野の専門家を集め、研究発表と討論により、研究課題の進展を図るためである。外国人研究者10名を含む、のべ51名が参加し、19コマの発表が行われ、また多くの研究者間で個別討論が行われ、所期の目的を達成した。これ以外の研究代表者が直接かかわった個別の研究成果について以下に述べる。 (1)半整数ウェイトへのリフティング予想と次数2の志村対応予想を仮定した上で、Harder予想の半整数ウェイト版を考え、これをオランダSchiermonnikoogで行われた、保型形式の国際研究集会(主催van der Geer等)で発表した。 (2)ジーゲル保型形式に作用する、対角成分への制限が1変数保型形式のテンソル積を与える微分作用素を記述する特殊関数論について、一般の変数で母級数を与えるなど多くの進展があった。 (Don Zagierとの共同研究) (3)パラモジュラー群の保型形式とコンパクト実形の保型形式の間の筆者の与えた対応予想について、ベクトル値の場合をこめて次元の一致を照明した(若槻聡と共同研究。)またSchmidt-Robertsの与えたパラモジュラー群に関する局所ゼータ関数が実は因数分解できることを証明し、悪い素点でのオイラー積をこめて、L関数の一致を述べる形で予想を精密化した。 (4)次数2のパラホリック部分群についてウェイト3のジーゲル保型形式の次元をリーマン・ロッホの定理で求めるときのコホモロジーの障害の消滅を示し、ウェイト3のジーゲル保型形式の次元をすべて明示的に求めた。この結果、超特異アーベル曲面のモジュライ上の軌跡の成分数や算術種数がウェイト3のジーゲル保型形式の次元で書けることも証明した。これは20年近く前から予想されていたことの解決である。
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