2008 Fiscal Year Annual Research Report
多変数保型形式と代数的・幾何的不変量についての明示的研究
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17204002
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
伊吹山 知義 Osaka University, 大学院・理学研究科, 教授 (60011722)
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Keywords | セルバーグ跡公式 / ジーゲル保型形式 / ホロノミー系 / 超特異アーベル多様体 / テータ関数 / ラングランズ予想 / 半整数ウェイト / ヤコービ形式 |
Research Abstract |
次の項目について、以下に記載する研究を行い新しい結果を得た。(1)ジーゲル保型形式上のヘッケ作用素の跡公式を次数2のときに明示的に記述する研究。セルバーグ跡公式によれば、これは離散群の各共役類からの寄与の和でかけるが、特に一部の半正則元、および多くの非半単純元について、具体的な寄与を与えた。(若槻聡との共同研究)(2)保型形式上の微分作用素と特殊関数論。領域の制限について保型的に振舞う微分作用素の特徴づけより、ある微分方程式系やゲーゲンバウアー多項式の多変数化などの興味深い特殊関数系が得られる。これらの多くがホロノミー系であること、Bloch Kato予想から来る保型L関数の特殊値の予想との関連、特殊多項式系の一般的記述など多くの新結果を得た。(Don Zagier,落合啓之、葛巻孝子、桂田英典、Neil Dummiganとの共同研究)(3)4元数的エルミート形式と超特異アーベル多様体の研究。超特異アーベル曲面のモジュライは有限素体上定義されているが、その各成分は素体上または2次拡大上定義されている。これを5元2次形式の算術と4元数エルミート形式のGタイプ数により記述し、その個数を具体的に与えた。また種数3のモジュライにっいても既約成分の交わり方の算術的な記述を与えた(一部Frans Oortと共同研究。) 以上の研究成果について、マックスプランク研究所、アメリカ数学研究所、近畿大学、白馬オータムワークショップ、京都大学数理解析研究所、インドのハリシュチャンドラ研究所(予定)などの研究集会で発表や討論を行い、研究打ち合わせおよび成果発表のため、今年度5回、のべ5ヶ国外国を訪問し、また池田保(京都大学)と9月に第11回整数論オータムワークショップを主催した。以上に関連する討論のため外国在住の研究者を4名招聘し、共同研究のためその他の資金による2名の外国人研究者の訪問を受けた。
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Research Products
(6 results)