2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17204005
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
小林 亮一 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 教授 (20162034)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
楯 辰哉 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 助教授 (00317299)
佐藤 肇 名古屋大学, 大学院多元数理科学研究科, 教授 (30011612)
満渕 俊樹 大阪大学, 大学院理学研究科, 教授 (80116102)
二木 昭人 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (90143247)
翁 林 九州大学, 数理学研究院, 助教授 (60304002)
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Keywords | 代数的極小曲面 / 基本群 / ネヴァンリンナ理論 / Cohn-Vossen不等式 / ガウス写像 |
Research Abstract |
代数的および擬代数的極小曲面のガウス写像の値分布を説明する幾何を構築することが目標である. 代数的極小曲面は有限連結リーマン面になるから擬射影的曲線Cとみなせる.そしてガウス写像はCからリーマン球面への正則写像で穴まで正則に拡張するものである.したがって代数幾何学を適用できる. 宮岡礼子氏および川上裕氏と共同でガウス写像の全分岐値数を評価する代数幾何的枠組みを定式化した. それはCohn-Vossenの不等式(代数的極小曲面のときはRiemann-Rochの定理)とRiemam-Hurwitzの公式を柱とする議論の流れである.代数的極小曲面の周期条件はRiemalm-Rochの定理に現れる極の位数への制限という形で使われる.代数幾何の議論では代数的極小曲面の基本群の情報の使い方が非常に弱いので,得られる結果も最良ではないと思われる.そこで代数的極小曲面の普遍被覆面である円板をとってすべてのデータを円板上に持ち上げて,代数幾何の議論の,基本群の作用つきネヴァンリンナ理論類似を構築する.この試みが殆ど完成し,現在筆者と宮岡氏で詳細を検討中である.代数幾何のRiemam-Roch,Riemalm-Hurwitzの公式を使う位相的な議論と,基本群の作用によって基本領域のユークリッド幾何的形状が円板の境界付近に行くとどのように歪むかの双曲幾何的な解析を組み合わせることによって,Cohn-Vossen不等式の基本群作用つきネヴァンリンナ理論類似を構築する.古典的Chon-Vossen不等式は代数的極小曲面のガウス曲率の積分と双曲計量に関する面積の比較であるが,この両者を円板上で高さ変換したものの間の不等式がCohn-Vossen不等式の基本群作用つきネヴァンリンナ類似である.これによって,代数的極小曲面のガウス写像を円板状に持ち上げたものの高さ関数と,双曲面積の高さ変換の比が少なくとも1/2.73であることを示すことができた. 昨年報告した予想値2.91の根拠は結局誤りであることが分かり.今回の収穫は正しい議論をすれば2.73というもっと良い値が得られることが分かった点である.これは擬代数的の場合も正しい.次に代数的の場合だけ現れる周期条件であるが,これはWeierstrass dataのAbel-Jacobi積分から作られるある有理型関数の基本群作用に関する不変性と同値である.この不変性から値分布論的な情報を引き出す「幾何的対数微分の補題」と言うべき道具を開発し,それを適用して,代数的極小曲面のWeierstrass dataを円板状に持ち上げたものから決まる,いくつかのネヴァンリンナ理論的関数たちが,ある種の等式によって結びついているという現象を発見した.
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Research Products
(2 results)