2005 Fiscal Year Annual Research Report
統計力学に動機付けをもつ諸問題の確率解析による総合的かつ統合的研究
Project/Area Number |
17204011
|
Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
長田 博文 九州大学, 大学院・数理学研究院, 教授 (20177207)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白井 朋之 九州大学, 大学院・数理学研究院, 助教授 (70302932)
舟木 直久 東京大学, 大学院・数理科学研究科, 教授 (60112174)
熊谷 隆 京都大学, 数理解析研究所, 助教授 (90234509)
種村 秀紀 千葉大学, 理学部, 教授 (40217162)
今野 紀雄 横浜国立大学, 大学院・工学研究院, 助教授 (80205575)
|
Keywords | 確率論 / 解析学 / 統計力学 / 無限粒子系 / 確率解析 / 確率場 |
Research Abstract |
本研究の目的は、無限粒子系の確率力学系を確率解析の視点から、総合的かつ統合的に研究することである。この目的のために4つの研究グループを構成し、研究を行った。それぞれについて成果を述べる。 1.確率場グループは、樋口がシエルピンスキーカーペットのパーコレーションの臨界確率について、従来の熊谷の結果を進展させた。白井は、Fermion測度のなかでも、Ginibre Ensembleに関係する興味深い例に対して、Fermion測度の特徴をよく表す鮮やかな結果を得た。 2.極限定理グループは、長田がランダム行列に関連する2次元空間の干渉ブラウン運動に対して、そのtagged粒子の漸近挙動が、通常のGibbs測度と全く異なり、対数関数のオーダーとなることを示した。 3.確率解析グループでは、熊谷が、強い再帰性をもつグラフ上のマルコフ連鎖について、劣ガウス型評価を持つ条件を有効抵抗の言葉で与えた。さらに、樹木グラフの上のパーコレーションに関して、その臨界集合上の熱核を研究し、Barlow氏とともに、熱核の臨界集合におけるフレクタル的様相を明快に示す非常に興味深い結果を得た。長田は、典型的な無限次元確率力学系である干渉ブラウン運動に対して、Dirichlet形式の理論によって構成されたこの確率力学系を、確率微分方程式による表現を得るための一般的な構成手段を得ることに成功した。舟木はパス空間のある確率力学系(これはパス空間の反射壁ブラウン運動と言うべきものであるが)の構成に動機づけられて、Bessel過程に対するWiener積分を構成しその性質を調べた。 4.相互作用粒子系グループでは、種村が有限粒子系の段階ではあるが、Airy点過程に関係する確立微分方程式の解の明快な表現を得た。また、今野は、離散時間の最近接1次元量子ウォークの極限定理を,そのダイナミクスを決めるユニタリ行列の代数的な関係を援用し、経路積分のアプローチにより求めた。長田はGinibre Ensembleのスケーリング極限を定常分布に持つ、確率力学系の構成を行った。
|
Research Products
(6 results)