2005 Fiscal Year Annual Research Report
超短パルスレーザーを用いた新奇な核スピン偏極法の開発
Project/Area Number |
17204017
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
中嶋 隆 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (50281639)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
作花 哲夫 京都大学, エネルギー理工学研究所, 助教授 (10196206)
松尾 由賀利 京都大学, 理化学研究所, 先任研究員 (50231593)
小林 徹 京都大学, 理化学研究所, 先任研究員 (70202067)
|
Keywords | 核スピン / 偏極 / 光イオン化 / レーザーアブレーション |
Research Abstract |
初年度である本年は,本研究の最終目的である超短レーザーパルスを使った核スピンを偏極させる新奇な方法の開発を進めるに先立ち,偏極および偏極度の検出が比較的容易なイオンの価電子のスピン偏極実証実験にまず取り組んだ。実験準備を進めると共に理論的な解析も並行して進めた。まず,実験に関しては,ストロンチウム原子を使った実験を進めた。レーザーアブレーションによって発生させた高密度ストロンチウム原子ガスに円偏光したナノ秒の色素レーザー(694nm)を照射することにより5s5p ^3P_1(M_J=+1)を選択的に励起した。その後,フェムト秒レーザーの基本波(794nm)から第2高調波(397mn)を発生させ,時間幅150fsの397nm光をポンプ光として5s5p ^3P_1(M_J=1)から5s6d ^3D1(MJ=1)および^3D_2(M_J=1)をコヒーレントに励起した。しかるべき時間遅延の後,794nmをプローブ光として照射し,光イオン化を誘起した。我々の予想では,生成イオンはスピン偏極しているはずである。しかしながら,794nmのプローブ光なしでも397nmのポンプ光によって光イオン化が既に起こってしまい,期待されたスピン偏極スキームを実現できなかった。その理由として,794nm光をプローブ光として使った場合には光イオン化効率がかなり低いのではないかと疑われたので,ナノ秒の色素レーザーを使って波長掃引し,効率良く光イオン化が起こるプローブ光波長を現在探索している。 理論については,やはり時間遅延をおいたポンプパルスとプローブパルスを使ってスピン偏極を誘起するという我々のアイディアに基づき解析を進めた。その結果,スピン偏極度の時間遅延に対する依存性は光強度によって顕著に異なるということがわかった。
|
Research Products
(1 results)