2005 Fiscal Year Annual Research Report
超高周波重力波検出用レーザー干渉計の開発と重力波源の探索
Project/Area Number |
17204018
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Research Institution | National Astronomical Observatory of Japan |
Principal Investigator |
川村 静児 国立天文台, 光赤外研究部, 助教授 (40301725)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
新井 宏二 国立天文台, 光赤外研究部, 主任研究員 (50321584)
辰巳 大輔 国立天文台, 光赤外研究部, 主任研究員 (70333276)
杉山 直 国立天文台, 理論研究部, 教授 (70222057)
千葉 剛 日本大学, 文理学部, 助教授 (40324602)
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Keywords | 重力波 / レーザー干渉計 / 宇宙物理 / 理論天文学 |
Research Abstract |
重力波は、アインシュタインの一般相対性理論によりその存在を予言された光速で伝わる時空のひずみであるが、未だ直接検出はなされていない。そこで現在、重力波検出を目的として、日本のTAMA300をはじめ、世界各地で大型重力波検出器の建設が行なわれている。それらの検出器がターゲットとする重力波の周波数は10Hz〜10kHzである。しかしながら、将来の重力波天文学の創成にとっては、電磁波のようにさまざまな周波数帯域における重力波アンテナの開発が望まれる。そこで本研究では超高周波重力波検出用レーザー干渉計の開発とその重力波源の探索を行なってきた。 平成17年度の実験・理論における成果はそれぞれ以下の通りである。 (1)実験 超高周波重力波検出器としてシンクロナス・リサイクリング干渉計を設計・製作しその動作に世界で初めて成功した。シンクロナス・リサイクリング干渉計とはサニヤック干渉計を共振型にしたものであり、干渉計の腕の長さ程度の波長を持つ周波数の重力波に対して、共振器のフィネスの分だけ感度を高めた装置である。現在のセットアップでは、狙う重力波の周波数は約100MHz、共振器のフィネスは200程度である。共振器長の誤差信号は15MHzの位相変調・復調によって取得し、その信号を用いて、レーザー光の周波数をコントロールすることによって、干渉計を常に共振状態に制御している。システムは非常に安定であり共振状態は3時間以上持続する。次のステップは重力波信号を取り出すための信号取得システムを組み込むことである。 (2)理論 インフレーション期に生成される原始重力波のスペクトルの、インフレーションモデル依存性や再加熱機構依存性や相対論的自由度の温度依存性も考慮したより正確な計算を行うために、まずカオチックインフレーションからの重力波のスペクトルを瞬間的再加熱の近似で計算を行った。また、原始重力波に対するビッグバン元素合成からの制限を緩める可能性について、考察を行った。レプトン非対称性を許せば重力波の寄与と相殺して制限が2倍程度緩まることがわかった。さらに、木星質量の原始ブラックホール連星から放出される重力波の振幅と合体率を評価した。
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Research Products
(3 results)