2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17204025
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
谷村 克己 大阪大学, 産業科学研究所, 教授 (00135328)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田中 慎一郎 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (00227141)
金崎 順一 大阪大学, 産業科学研究所, 助教授 (80204535)
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Keywords | 半導体表面 / 光誘起相転移 / フェムト秒時間分解分光 / 2光子光電子分光 / 低エネルギー電子線 / 走査型トンネル顕微鏡 / 低次元系 |
Research Abstract |
本研究においては、多重安定性を内包する擬二次元凝縮相としての半導体再構成表面における電子励起状態が示す新規な物性現象を、 (1)走査型プローブ顕微鏡による原子レベルの超空間分解手法 (2)フェムト秒レーザー分光法による超短時間分解手法、 の時間・空間極限実験手法を有機的に結合させて研究し、半導体表面における励起物性を原子レベルでの構造に関する直接的知見に基づき、フェムト秒時間領域での超高速動力学を、微視的・統一的に解明する事、そして、その基礎的知見を、新規な表面新構造相の創製手法へと展開させることを目的としている。 本年度においては、昨年に引き続き(1)フェムト秒2光子光電子分光法を用いて半導体表面における超高速のキャリアー動力学の研究、(2)高分解低エネルギー電子線励起による表面構造不安定性の研究、(3)フェムト秒レーザー励起による表面新物質相創製の研究、を中心に研究を展開した。以下に、主要な成果を列記する。1)si(001)-(2x1)、si(111)-(7x7)を対象に、世界に先駆けて構築した波長可変励起の実験装置を用い、励起電子の熱化過程、inter-valley散乱、表面における超高速消滅過程などの基礎的プロセスを直接的に検出した。 2)表面ナノパターンニングをめざすトンネル電流励起によるSi-Hボンド切断機構を解明するため、50eV以下の低エネルギー高分解電子線を表面励起源として用い、従来提唱されていたチップによる局所電場・高電流密度効果の寄与を解明する研究を展開した。その結果、これらのチップ固有の効果は基本的に存在せず、Si-Hボンドの非弾性励起は主要な要因であることを解明した。 3)グラファイト表面のフェムト秒光パルスで励起による光誘起相転移機構の研究を継続した。光励起に固有な新奇ダイヤモンド構造は、p偏光励起の場合にのみ選択的かつ非線形的に創製され、層間の電荷移動励起がトリガとなることを明らかにした。更にフェムト秒反射分光により、相転移の前駆体の存在を実証した。 来年度、これらの研究を更に発展させると共に、低温における半導体表面のフェムト秒動力学研究を推進する。
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