2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17204029
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
和田 信雄 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (90142687)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松下 琢 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (00283458)
檜枝 光憲 名古屋大学, 大学院理学研究科, 助手 (30372527)
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Keywords | 低温物性 / 物性実験 / ナノ材料 / ボース・アインシュタイン凝縮 / フェルミ縮退 / 超流動 |
Research Abstract |
^4Heおよび^3He液体は,それぞれボースおよびフェルミ量子流体の理想的な研究対象である。我々はナノ多孔体のナノ極限環境におけるヘリウムの研究を国内外で最初に開始し,世界に先駆けて^4Heおよび^3Heの1次元的な量子流体等を新規に実現してきた。 それらのうち^4Heの超流動については,細孔のつながりが1次元と3次元の違いがある以外は,孔径が2.7-2.8nmとほぼ同じで,基盤からのポテンシャルの影響も同じである2種類のナノ多孔体において,超流動転移(オンセット)が細孔の次元性に大きく依存することを見出した。また超流動を観測した最低温の40mKでは1次元や3次元のフォノン状態の条件にあることを明らかにした。 超流動の超音波での周波数依存は,金基盤で50mKまでの測定に成功し,解析から求められる超流動渦パラメータの膜厚依存等を求めた。 ^3Heについては,ナノ細孔の壁面を^4Heで前もって覆うことで,相互作用が小さいガス的な状態の吸着^3HeをFSM-16に続きHMM-2においても確認する実験を行い,わずかに吸着した^3Heがボルツマンガスになることを観測した。 1層程度の^4He固層の上に吸着したと考えられてきた^4Heについては,比熱が気体定数Rになるガス状態はいかなる吸着量でも観測できず,むしろ"semi-quantum liquid"と呼ばれるアモルファス固体的な比熱が常流動状態で観測された。これは固層と流体層にあるそれぞれの4He原子が同種粒子であるために原子交換がおきて,全体として相互作用が大きなボース流体になったと推測される。 吸着^3He流体のフェルミ縮退状態の研究には超低温比熱やNMRが不可欠である。これらの測定を超低温まで行えるように,超低温装置の整備を行ってきた。
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