2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17204030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壬生 攻 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40222327)
寺嶋 孝仁 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
小林 研介 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10302803)
葛西 伸哉 京都大学, 化学研究所, 助手 (20378855)
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Keywords | スピン分極電流 / 磁性 / 超伝導 / スピン注入 / 磁壁移動 |
Research Abstract |
スピン分極電流の制御性と非平衡性を積極的に利用して、物質固有の特性と考えられてきた磁性や超伝導などの物性を制御することを目的として研究を行った。具体的には、(1)スピン分極電流による磁化状態制御、(2)スピン分極電流による強磁性制御、(3)スピン分極電流による超伝導性制御を目指して研究を行った。 (1)スピン分極電流による磁化状態制御 強磁性細線における電流誘起磁壁移動に必要な臨界電流密度を細線の断面形状を変えて系統的に調べた。臨界電流密度は形状磁気異方性と相関があることが明らかとなった。 (2)スピン分極電流による強磁性制御 La_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3/La_<0.9>Sr_<0.1>MnO_3の積層構造をレーザーアブレーション法で作製し、さらに積層構造方向へ電流を流して測定できるように試料形状を微細加工した。強磁性体であるLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3から常磁性体のLa_<0.9>Sr_<0.1>MnO_3へ電流を流すことでスピン注入効果を検討した結果、測定電流の増加ともにLa_<0.9>Sr_<0.1>MnO_3の電気抵抗が減少すること、およびキュリー温度に対応すると考えられる磁気抵抗効果の極大を示す温度が上昇することがわかった。これらのことは、強磁性体であるLa_<0.7>Sr_<0.3>MnO_3から常磁性体のLa_<0.9>Sr_<0.1>MnO_3へ注入されたスピンが常磁性体のLa_<0.9>Sr_<0.1>MnO_3中の磁気モーメントを揃える効果があると解釈することで説明可能である。 (3)スピン分極電流による超伝導性制御 強磁性体(スピン分極電流のソース)/超伝導体/強磁性体(スピン分極電流のドレイン)構造を作製し、超伝導体へのスピン注入効果について検討した。NiFe合金/Al/NiFe合金の構造を作製し、超伝導転移温度以上で、強磁性体であるNiFe合金からAlへの電流によって非磁性であるAl中にスピンが蓄積されることを電気的に検証した。さらにAlが超伝導になるとこのスピンシグナルが増大することを見出した。
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