2006 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17204030
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
小野 輝男 京都大学, 化学研究所, 教授 (90296749)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
壬生 攻 名古屋工業大学, 工学研究科, 教授 (40222327)
寺嶋 孝仁 京都大学, 低温物質科学研究センター, 教授 (40252506)
小林 研介 京都大学, 化学研究所, 助教授 (10302803)
葛西 伸哉 京都大学, 化学研究所, 助手 (20378855)
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Keywords | スピン分極電流 / 磁性 / 超伝導 / スピン注入 / 磁壁移動 |
Research Abstract |
平成18年度は、これまでの研究成果を踏まえ、「強磁性体中のナノスピン構造の電流励起」という観点から研究を推進した。これまでに研究してきた電流駆動磁壁移動現象は、磁壁を通過する際に電子のスピン方向が磁壁内の磁気モーメントに沿って回転するため、電子から磁壁にスピン角運動量が受け渡された結果である。つまり、この現象は強磁性体中のナノスピン構造である磁壁が電流によって励起された結果と解釈することができる。この励起に必要な条件は、磁壁のようにスピン方向が空間変化する構造中をスピン分極電流が流れることである。平成18年度は強磁性体中の典型的ナノスピン構造として、強磁性ナノドット中に出現する磁気渦の電流励起についての研究を行った。 強磁性体を円盤状に加工すると、スピンが試料面内で渦のように回転方向に整列する磁気渦構造が安定化され、その中心には直径数ナノメートルの磁気コアが存在することを、以前に報告した。(Science, 289(2000)930)。今回、この磁気渦状態に適切な周波数を持つ交流電流を印加すると、電流と磁気コアの相互作用によって磁気コアがドットの中で回り始めることをシミュレーションによって見出し、強磁性円盤の電気抵抗の交流電流周波数依存性測定を行うことで、この磁気コアの共鳴励起現象を実験的に捉える事に成功した(Phys.Rev.Lett, 97(2006)107204)。さらに、詳細にシミュレーションを行った結果、励起電流を大きくすると、磁気コアの向きが反転する現象を見出した。磁気コア反転の直前に、元の磁気コアとは逆向きのディップが回転運動の内側に現れ、このディップが引き金となって磁気コアが反転することがわかった。
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Research Products
(4 results)