2005 Fiscal Year Annual Research Report
インド洋熱帯域におけるダイポールモード現象の長期変調に関する研究
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17204040
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
山形 俊男 東京大学, 大学院・理学系研究科, 教授 (50091400)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
升本 順夫 東京大学, 大学院・理学系研究科, 助教授 (60222436)
東塚 知己 東京大学, 大学院理学系研究科, 研究拠点形成特任研究員 (40376538)
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Keywords | ダイポールモード現象 / 気候の長期変調 / エルニーニョ / 南方振動 / インドネシア通過流 / マスカレン高気圧 / アガラス海流 / 大気海洋結合モデル / インド洋熱帯域 |
Research Abstract |
インド洋熱帯域におけるダイポールモード現象(IOD)の長期変調を支配するプロセスに関する研究を行った。 1.高解像度大気海洋結合モデル(SINTEX-Fモデル)の結果の解析を行い、結合モデル内で起きているエルニーニョ/南方振動(ENSO)とその長期変調の再現性を観測データとの比較から調べた。 2.1と同じ大気海洋結合モデルの結果の解析を行い、インド洋内部の熱輸送量(熱帯域と亜熱帯域の間の熱輸送)の変動において、南インド洋の亜熱帯高気圧であるマスカレン高気圧の変動が重要な役割を果たしていることが明らかになった。特に、マスカレン高気圧が強く、エクマン熱輸送による熱帯域から亜熱帯域への熱輸送が強い時期に正のIODが発生しやすくなることがわかった。 3.インドネシア通過流の変動に重要な役割を果たしているオーストラリア大陸の沿岸波動やインド洋赤道域及びインドネシア沿岸域の波動の特性を検潮所データ、衛星海面高度計データ、海洋ブイデータから明らかにした。さらに、波動の励起源や特性に季節依存性があることも明らかになった。 4.インド洋の熱収支を考える上で重要なアガラス海流の理解を深めるため、超高解像度海洋大循環モデル(OFES)を用いて、南大西洋のアフリカ大陸沿岸域の季節変動のメカニズムを明らかにした。特に、この海域に存在する湧昇ドーム現象であるアンゴラドームには、2つのコアが存在することを示した。そして、弱い方のドームは主に湧昇よって冷却されるのに対し、強い方のドームでは温度躍層が浅いため、海表面熱フラックスの変動が季節変動において支配的になることが明らかになった。 5.現在のインド洋の変動及び将来のIODの長期変調の理解を深める上で有用である現在と古気候のIOD及びその長期変調の比較を行うための大気海洋結合モデルの構築に成功した。
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