2005 Fiscal Year Annual Research Report
大陸衝突帯の地下深部ダイナミクス-高温高圧下での流体活動とその役割の解明-
Project/Area Number |
17204047
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
平島 崇男 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (90181156)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小畑 正明 京都大学, 大学院・理学研究科, 教授 (20126486)
山本 順二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助手 (60378536)
中村 大輔 京都大学, 大学院理学研究科, 講師(研究機関研究員) (50378577)
大沢 信二 京都大学, 大学院・理学研究科, 助教授 (30243009)
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Keywords | ラマン分光分析 / 流体包有物 / 岩石・流体相互作用 / 高圧変成岩 / かんらん岩 |
Research Abstract |
<流体包有物の研究>本年度の最大の目的は、微細な流体包有物の解析が可能と成るように顕微ラマン分光分析器のスペックの選定と、分析作業に習熟することである。機器の導入に先立ち内外の専門家に意見を求めて、機器の調整方法や分析方法の問題点と改善策を試考する。特に、平成17年7月にオーストリアのグラーツで開催される第7回国際エクロジャイト会議では、ヨーロッパや中国の研究者が、超高圧変成岩の流体活動について報告予定である。この会議に出席し最新の知見を得るとともに、分析方法等の意見交流を深める予定である。本研究の成否を握るもう一つの鍵は、流体包有物を含む試料の確保である。顕微ラマン分光分析器の導入に先立って、日本や海外の主要な変成岩類の岩石薄片を用いて、流体包有物の有無の確認作業を開始する。当研究グループは、日本の三波川変成帯、領家変成帯、肥後変成帯、カムイコタン変成帯、海外のイタリア・西アルプス変成帯、中国・蘇魯超高圧変成帯、チェコ・ボヘミア山塊の各種変成岩や、日本の幌満岩体、スペインのロンダ岩体などのマントル物質を保有しており、当面はこれらの試料を対象にする。流体包有物を含む試料は、顕微ラマン分光分析器と顕微鏡用加熱冷却装置を駆使して、流体の組成分析、凝固点降下度を用いた塩分濃度の推定などを行う。この研究の特筆すべき点は、流体包有物が母相に取り込まれたときの圧力条件を、均質化温度を用いたアイソコア法のみに頼るのではなく、相平衡岩石学的手法を用いて精密に解析する点にある。流体包有物の組成決定などは大沢・山本が担当し、相平衡岩石学的解析は平島・小畑・中村たちが担当する。 <水を多量に保持する含水鉱物が脱水分解を引き起こす地質体の再検討>比較的低温(<550℃)状態で形成された変成岩では、ローソン石、緑泥石、蛇紋石など多量のOH基を結晶水として保持する鉱物の挙動が岩石の含水量を左右している。沈み込み帯でこれらの鉱物が分解すると多量の水が一挙に放出され、母岩の含水量も減少すると推定される。地下深部で脱水した流体の移動機構を研究する場合、ローソン石が消滅する地質帯がその目的に適している。日本の黒瀬川帯やカムイコタン変成帯、イタリア・西アルプスのセシア帯などが、この目的に合致している。本年度は、上記の地域の岩石試料を採集し、変成度の上昇による含水量変化の実態、脱水した流体の移動経路の解析を行う。海外での試料採集は海外共同研究者との共同作業として実施する。
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Research Products
(6 results)