2006 Fiscal Year Annual Research Report
水素クラスターの赤外分光による水素分子超流動を探る
Project/Area Number |
17205003
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
唐 健 岡山大学, 大学院・自然科学研究科, 助教授 (40379706)
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Keywords | 分子分光 / 振動回転スペクトル / 赤外OPOレーザー / 超音速分子線 / 回転温度 |
Research Abstract |
昨年度、赤外OPOレーザーを設置後、赤外レーザー吸収分光器を製作した。今年度、分光器の性能を向上して、パルス分子線の吸収スペクトルを測定できるようにした。このレーザーシステムは世界にまだ数台しかない。この分野の応用がまだないため、レーザーを掃引する制御についてはかなり工夫した。レーザーを掃引する時に、出力パワーの周期的な変化が最大の問題である。それを克服するために、二重変調は有効な方法であった。内外に異なるスロット数をもつ光チョッパーを用いて4kHzと2.8kHzで変調した二つのレーザービーム、一方は吸収セルに通し、もう一方はそのまま検出器に集光し、基準信号とした。2つのビームを1つの検出器に入れ、二台のロックインアンプでそれぞれ検出した。2つの信号の比はレーザーの出力の変化によらないので、検出の感度を高くできた。パルス超音速分子線と組み合わせて、まずメタンCH_4分子と硫化カルボニルOCS分子を用いて分子ビーム中の分子の回転温度を調べた。OCS分子の振動回転スペクトルによって、分子線の回転温度は10K前後と決定された。CH_4分子の振動回転スペクトルでは、高いエネルギー準位をもつ遷移もよく観測された。CH_4のような軽い分子の回転準位における分布は超音速分子線中では緩和が不十分で、回転温度は平衡になっていないことが分かった。現在、水素クラスターなど不安定分子種の観測が進行中である。さらに、非点収差多重反射セルによる飽和吸収分光も試みている。
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