2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブの溶媒への可溶化戦略と新機能開発
Project/Area Number |
17205014
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
中嶋 直敏 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (80136530)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
金子 賢治 九州大学, 大学院工学研究院, 教授 (30336002)
新留 琢郎 九州大学, 大学院工学研究院, 助教授 (20264210)
村上 裕人 長崎大学, 工学部, 助教授 (30274624)
出口 米和 群馬工業高等専門学校, 物質工学科, 助手 (20300535)
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Keywords | ナノチューブ / ナノ材料 / 超分子化学 / 複合材料・物性 / ナノバイオ |
Research Abstract |
カーボンナノチューブ(CNT)は強くバンドルしており、溶媒に不溶である。CNTのバンドルをほどき溶媒に溶かすことができれば「カーボンナノチューブの化学」が展開できる。本研究では、「CNTとの親和性が高い多核芳香族基をもつ分子の物理吸着による可溶化ならびに機能化」という基本コンセプトで本研究を展開している。本年度の成果は以下の通りである。 まず、「反応性CNT可溶化剤」という新しいコンセプトに基づく可溶化剤を3種類合成した。具体的には無水マレイン酸を含むコポリマーと多核芳香族基を含むアルコールを反応させた。これらの可溶化剤は、CNTを極めて良好に孤立溶解すること,また可溶化後に無水マレイン酸部位を化学変換が可能なことを示し、コンセプトの正しさを実証した。 次に上記の可溶化溶液に近赤外パルスレーザー照射実験を行った。近赤外光は生体組織を透過しやすいため、バイオイメージングや光線療法への適用が期待されている。CNTはこの近赤外域に吸収をもち、造影剤あるいはフォトサーマル素子として利用できる可能性を持っている。本研究ではSWNT/ポリマー可溶化水溶液への近赤外パルスレーザー一照射の効果を調べたところ、照射はSWNTの凝集を誘起することを見いだした。パルスレーザー光照射による沈殿の形成は通常の加熱よりも低温で速やかに進行することがわかった。CNTのパルスレーザー光吸収による局所的かつ過渡的な温度上昇は、CNT分散状態変化などの反応を局所的に開始するためのトリガーとして用いることができることがわかった。 金属性CNTと半導体性CNTのバルク分離実験を行った。まずCNTをコール酸ミセルに孤立溶解させ、長鎖アルキルベンゼンジアゾニウム化合物を加え、金属性SWNTのみに反応する条件を探索した。この条件下で金属性CNTと未反応の半導体性SWNTの分離が可能であることを見いだした。
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Research Products
(12 results)