2006 Fiscal Year Annual Research Report
円偏光受光・発光スピントロニクス半導体素子の基礎研究
Project/Area Number |
17206002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 東京工業大学, 大学院理工学研究科, 教授 (60270922)
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Keywords | 円偏光 / スピン / フォトダイオード / LED / ヘテロ構造 / スピン依存伝導 |
Research Abstract |
(1)円偏光度検出フォトダイオード まず、理論的な研究では大きな進展が得られた。具体的には、ヘテロ接合の伝導帯に正のエネルギー不連続がある場合に、スピン輸送効率に相当するパラメータβを導入して電荷・スピンの輸送方程式を定式化できたことと、磁場を印加した場合に各層で生ずる磁気円二色性に基く円偏光依存光起電力ΔIを定式化することができた。これによって、光劣化しないn-AlGaAs(g=0)/p-InGaAs(g=-1.4〜-1.9)ヘテロp-n素子で得られた実験データ(4KでのΔIの外部磁場依存性)の解析が可能となった。しかし一方で、液体窒素温度でのΔI出力特性は、我々の測定システムのノイズレベル(1nA)以下であって計測が困難であることが判明した。 (2)円偏光磁化回転の研究 磁気光学顕微鏡で得られる磁気ドメインの画像信号の再現性が、長い時間(数秒から1分程度)のドリフトによる影響のために、必ずしも良好でないことが問題点として浮かびあがってきた。顕微鏡に導入する磁気パルス発生用微小ストリップラインの作製プロセス(フオトリソグラフによるCu配線)の開発にも前進が見られた。これを来年度に解決することが急務である。室温強磁性を示す新材料(Zn,Cr)Teの光誘起効果を調べた。光励起による温度上昇以外の効果は今のところ得られていない。一方で、(Ga,Mn)Asを用いた超高速分光による実験に大きな進展が見られた。光パルス励起により強磁性結合したMnスピンの才差運動を誘起できることを確立することができた。 (3)円偏光発光素子にむけた基礎研究 強磁性電極(Fe)・半導体(n-GaAs)接合界面の形成が予想よりも難しく、多くの時間をこの研究に費やした。結果、分子線エピタキシー装置内にAs_4分子が残留していると良好なFe超薄膜を得ることが困難で、残留量が10-9Torr以下に抑制きれば、この問題点を克服できることが明らかとなった。
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