2007 Fiscal Year Annual Research Report
円偏光受光・発光スピントロニクス半導体素子の基礎研究
Project/Area Number |
17206002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (60270922)
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Keywords | 円偏光 / スピン / フォトダイオード / LED / ヘテロ構造 / スピン依存伝導 / 強磁性半導体 |
Research Abstract |
(1)III-V族化合物半導体ヘテロ構造中のスピン輸送と円偏光ダイオード 円偏光照射によるスピン偏極キャリア注入の手法を拡張した実験がうまく働いて、世界に先駆けて以下の2つの新しい知見を得ることができた。具体的には(1)正負に帯電したドナーとアクセプターの電気二重層、いわゆる、pn接合部の空乏層中をキャリア電子が拡散伝導する際、そのスピン偏極度はほとんど劣化しないこと、および、(2)間接遷移型バンド構造を有する半導体層を、半導体ヘテロ構造の少なくとも一部分に用いた構造の方が、外的環境(バイアス電圧、試料温度)に対するスピン偏極度の劣化が小さいこと、が明らかとなった。また、昨年度得られた実験データと我々が開発したスピン輸送方程式による計算結果とを定量的に詳しく比較検討した結果、ヘテロ界面で発生するホットキャリアがスピン輸送効率の劇的低下を抑止する可能性があるとする新しい知見に到達した。来年度はこれらの成果の論文化や特許化をめざす。 (2)(Ga, Mn) Asの光誘起磁化の研究 走査型磁気光学顕微鏡の欠点を丹念に潰し、スポット径2ミクロン、感度20マイクロ度に達する性能を引き出すことができた。外部磁場による磁化回転の精密な局所観察と回転開始磁場の試料全体にわたる画像化に到達した。この研究は今後、他の研究課題に引き継いで遂行する。 (3)円偏光発光素子にむけた基礎研究 強磁性MnSb層をスピン注入電極とするspin-LEDの試作に方向転換し、円偏光度数%で発光するを素子(低温、40K以下)まで到達した。また、テラヘルツ波の発振現象を(In, Mn) Asで得た。
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