2008 Fiscal Year Annual Research Report
円偏光受光・発光スピントロニクス半導体素子の基礎研究
Project/Area Number |
17206002
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Research Institution | Tokyo Institute of Technology |
Principal Investigator |
宗片 比呂夫 Tokyo Institute of Technology, 大学院・理工学研究科, 教授 (60270922)
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Keywords | 円偏光 / スピン / フォトダイオード / LED / ヘテロ構造 / スピン依存伝導 / 強磁性半導体 |
Research Abstract |
強磁性体の非相反損失とIII-V族半導体レーザの利得現象を活用したMnSb-InGaAsハイブリッド導波路光アイソレータの作製と評価を東大・中野グループと共同で遂行した。NiAs型の六方晶構造を有するMnSbは、閃亜鉛鉱構造のIII-V族化合物半導体とは結晶構造が異なるので、半導体上に良質の結晶薄膜を作製するためには幾つかの工夫が必要であるが、キュリー温度が高く、磁気光学効果が大きいという点で魅力的な素材である。分子線エピタキシー法(MBE)により導波路素子トップのInGaAs表面にMnSb単結晶薄膜の形成を行った結果、表面の酸化膜除去後にMBEでInGaAs層を堆積し、引き続きMnSb層の成長を行うと、2次元島成長モードによる成長が可能であることを突き止めた。このようにして作製したMnSb-InGaAsハイブリッド導波路光アイソレータの性能を評価したところ、波長1.54μmのTMモードでアイソレーション比12-10dB/mmが20-70℃の幅広い温度領域で達成された。 強磁性MnSb層をスピン注入電極とするスピン発光ダイオードを試作し、円偏光度数%で発光する素子(40K以下)を面直発光型ならびに端面発光型の両者で得ることに成功した。両者ともに、強磁性体の残留磁化を積極的に活用した円偏光発光を実現した。すなわち、素子駆動中に外部磁場を印加する必要はない。また、従来の素子と異なり、層厚100nm以上の発光層を用いているので、円偏光を伴う発光が進行する方向に空間選択性がなくなるものと期待される。保持力の異なる2つの素子による円偏光電気的切替え実験も成功した。
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