2006 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブへのガス吸着機構の解明と極微量ガスセンサーの開発
Project/Area Number |
17206007
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
本多 信一 大阪大学, 大学院工学研究科, 助教授 (90324821)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
片山 光浩 大阪大学, 大学院工学研究科, 教授 (70185817)
大門 秀朗 九州工業大学, 工学研究科, 助教授 (20324816)
尾浦 憲治郎 大阪大学, 超高圧電子顕微鏡センター, 特任教授 (60029288)
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Keywords | 単層カーボンナノチューブ / ガスセンサー / 吸着機構 / 成長形態 / 酸化・還元性ガス / 選択検知 / 触媒金属修飾 |
Research Abstract |
近年、環境汚染ガスによる地球環境問題が注目されており、汚染ガス検知機器の分析限界の向上が要求されている。このような要請に応えるためには、センシングのコア材料として、実効表面積の大きい単層カーボンナノチューブ(SWNT)を応用することが有望となる。そこで、本研究では、ガス吸着機構の表面科学的な解明にもとづき、SWNTによる極微量ガスセンシング技術を開拓することを目的とした。本年度は、SWNTの成長形態とセンサー応答特性との相関を調べた。また、SWNTへのガス吸着機構を解明するために、大気中での外乱を避け、規定された条件下でSWNT薄膜ガスセンサーの応答特性を評価した。さらに、特定のガス種検知に向けて金属触媒修飾SWNT薄膜ガスセンサーを作製し、応答特性評価を行った。SWNTの成長条件(成長温度、触媒膜厚)を変えることによりSWNTの形態を変化させてセンサーを作製し、その応答特性を調べた結果、SWNTの低密度化が感度を向上させることを見出した。 次に、真空中においてNO_2に対する応答特性の評価をおこなった結果、大気中での場合と比べて、センサー感度がおよそ1.4倍高くなった。この要因として、真空中では検知対象ガス以外のガス分子の影響を受けにくく、SWNTの表面が清浄であるため、SWNT薄膜ガスセンサー本来の性能が得られたと考えられる。次に、大気中におけるCOとH_2に対するPt修飾SWNT薄膜ガスセンサーの応答特性を調べた結果、SWNTでは検知できないとされていたCOおよびH_2に応答した。しかし、H_2に対する感度はCOと比較して著しく小さかった。このことは、SWNTにPt触媒を修飾することにより、COを選択的に検知できることを示している。これまでに、SWNTによるCOのppmオーダーの微量検知の報告はなく、SWNTによるCOセンサーを実現するうえで画期的な結果であるといえる。
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Research Products
(11 results)