Research Abstract |
1.一酸化窒素(NO)のLIF計測:より実用的な火炎として,ジェット燃料(ケロシン)火炎の計測を行った.通常の噴霧燃焼では安定した火炎が得られないため,スポットヒーターで100℃に予熱した空気にケロシンを噴霧して,予混合噴霧状態を作り,火炎周囲には空気周囲流を流した.標準添加法によって,火炎の一酸化窒素モル分率を決定した.濃度決定のために添加した一酸化窒素モル分率は約230ppmであり,二線蛍光法による温度測定では,約320ppmを添加した.予熱空気を用いたため,火炎最高温度は約2400Kまでに上昇し,その結果,一酸化窒素モル分率も最大約550ppmとなった.これは,昨年度のメタンー空気予混合火炎の60〜70ppmと比べるとかなり高い値である.又,二酸化窒素についても,宇宙航空研究開発機構と共同で研究を開始した.従来のサンプリングプローブの計測では,既燃ガスを急冷すると二酸化窒素が生成するという結果であったが,サンプリングプローブ内の化学反応によって一酸化窒素が二酸化窒素に変化した可能性もあり,明確ではなかった.同一燃焼条件下でサンプリングプローブとLIFを比較する.メタンー空気予混合火炎に空気を吹き込んで急冷する装置を作成し,予備試験に入った. 2.LIBSの計測:石炭燃焼灰に含まれる微量元素の質量分率測定に標準添加法を用いた.試料の混合時間を変えて比較して,10分程度の混合時間で充分精度のある計測が可能であることを確認した.Si, Mg, Ti, Fe, Ca, Al, Mn, Cr, V, Na, Kについて元素同定ができた.MhとCrにっいて質量分率を測定した.Mhの測定では,JISM8815による手分析測定結果が464ppmであり,LIBS計測では強度と濃度に線形関係が成立して,453±17ppmを得ており,両者は良い一致を示した.Crの計測では,線形関係は成り立たず,飽和曲線フィティングで145ppmを得た.
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