2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17206028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 北海道大学, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
末岡 和久 北海道大学, 大学院・情報科学研究科, 教授 (60250479)
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Keywords | スピン注入 / スピン軌道相互作用 / ラシュバ効果 / ドレッセルハウス効果 / 狭ギャップ半導体 / ハーフメタル / スピントランジスタ |
Research Abstract |
スピントランジスタの実現を目指して狭ギャップ半導体をチャンネルとするヘテロ構造と強磁性電極を組み合わせたハイブリッド構造での(1)スピン注入、(2)スピン軌道相互作用の制御、(3)ドレイン側でのスピン検出を系統的に研究している。今年度は、(1)スピン注入に関しては、これまでの高純度鉄薄膜に加えて、鉄・テルビウム多層膜および鉄酸化物(マグネタイト)の成長、磁化特性などを調べた。鉄・テルビウム多層膜に関しては、これを狭ギャップ半導体であるインジウム砒素上に成膜して基板面に垂直な方向を磁化容易軸となることをメスバウアー効果およびSQUID(超伝導量子干渉計)で確認した。これはスピン注入実験を行う際に外部強磁場によりバンド構造の変化しやすい狭ギャップ半導体のスピン注入特性に与える影響を抑えた偏光測定を行うためである。これらにより、ショットキー障壁のない強磁性体・狭ギャップ半導体界面を通して高効率スピン注入が可能であることを示す準備が整った。また、100%近いスピン注入効率が期待されるハーフメタル材料の候補の一つであるマグネタイト薄膜のインジウム砒素上への成膜に成功し、結晶構造および磁化特性の解析に入った。(2)スピントランジスタ構造として用いる狭ギャップ半導体をチャンネルとするヘテロ構造がスピン軌道相互作用に与える影響を2次元閉じこめの異なる3種のヘテロ構造について磁気抵抗測定により調べた。これは、最終的にチャンネル中のスピン緩和を抑えるための2種類のスピン軌道相互作用を精度よく制御するための条件を見いだすためである。これまでの測定から高インジウム含有の狭ギャップ半導体系において2次元系のスピン制御の条件が見いだせる見通しを得た。来年度はこれらの課題の結論を導き、スピントランジスタの基礎技術の確立を目指していく。(3)については実験および計算から電流電圧の双安定性が現れることを見いだした。
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Research Products
(2 results)