2007 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17206028
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
陽 完治 Hokkaido University, 量子集積エレクトロニクス研究センター, 教授 (60220539)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
大野 宗一 北海道大学, 大学院・工学研究科, 助教 (30431331)
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Keywords | スピン注入 / 強磁性体 / スピントランジスタ / スピン軌道相互作用 / ホイスラー合金 |
Research Abstract |
当該年度は、得られた実験データの解析を中心に強磁性体/半導体界面における鉄砒素化合物の生成に関する熱力学的計算、半導体上の強磁性細線の漏れ磁場や磁化特性のマイクロマグネティックス解析などの理論的解析、またスピン伝導に関するモンテカルロシュミュレーション結果などから実験事実の正当な評価・解釈をとおしてスピントランジスタ実現のためのそれぞれの要素技術の確立の見通しを得ると同時に今後の課題の抽出をおこなった。まず、インジウム砒素系スピントランジスタにおいては(100)基板を用いて[1-10]方向に電流を流す配置で、ラシュバ効果とドレッセルハウス効果が密接に効いて室温でもスピンヘリックス運動という形でミクロンオーダーから10ミクロンオーダーのスピン拡散長をもつことが分かった。実験的にはソースドレイン距離が6ミクロンー12ミクロン、チャンネル長が2ミクロンー3ミクロンのスピントランジスタにおいてゲート電圧依存の電流振動が見られているがこのデータは、スピン伝導に関するモンテカルロシミュレーション結果とよい一致をみた。さらにドレイン電圧の増大とともにスピン振幅が増大することが観測されたが、この点もシミュレーション結果によって裏付けられた。この実験ではFe/In(Ga)As界面を通したスピン注入効率が最大でも40%と予想されていることと界面の熱力学的不安定さによる通電時の界面における鉄砒素系化合物生成からくると思われる動作の不安定さの克服が課題であり、昨年から成果が出始めたマグネタイト/lnAs接合のスピン偏極率の格段に高く、熱力学的に、より安定した特徴を使う方向で、スピントランジスタ動作のより大きな効果が観測できるものと予想される。
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Research Products
(22 results)