2005 Fiscal Year Annual Research Report
半導体量子リングと関連ナノ構造による電子と正孔の新制御法の開発と素子応用の探索
Project/Area Number |
17206034
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
榊 裕之 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (90013226)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
平川 一彦 東京大学, 生産技術研究所, 教授 (10183097)
秋山 英文 東京大学, 物性研究所, 助教授 (40251491)
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Keywords | 量子リング構造 / 半導体ナノ構造 / GaSb / 第2種ヘテロ構造 / 量子閉じ込め / InAs / 量子ドット / 量子ロッド |
Research Abstract |
本年はGaSb系の量子リングの形成技術を確立するために、GaAs基板上にGaSbを堆積させた時に作られる量子ドット構造の形状が成長条件の選択によって如何に制御されるかを調べた。その結果、条件次第でドットの形状に異方性が現れ、縦横の比が3対1ほどのロッド(棒状)構造の得られることが判明した。また、GaSbをリング状構造とする成長条件についても、吟味・検討を加え、(GaAl)Sbを堆積した時にも同様のリング形成が起きるか否かを調べ、Alの組成が70%以下の値の場合にリング構造の得られることを明らかにした。さらに、GaAs-AlGaAs系の量子井戸の内部にGaSbドットを埋め込み、電子をドットの外周上に周回させる方式のリングについても形成のための基礎実験を行ったところ、通常の量子ドットで見られる蛍光が消失することを見出した。これは、電子と正孔との重なりが弱められて、発光性の再結合をする確率が低下することによると思われるが、再現性などを確認し、その原因を明らかにして、対応策を確立する。 他方、GaSb系のリングやInAs系のリング内の電子と正孔の量子状態に解析を加え、歪みに伴うピエゾ電界の作用で、固有状態にどのような異方性が生じるかを検討した。この結果、数ミリ電子ボルトから数十ミリ電子ボルトのポテンシャル変調が生じ、電子と正孔とがリング内で局在化し、両者の重なりを減らす可能性のあることが判明した。また、リング内に閉じ込められた電子または正孔の固有状態の中で、角運動量の大きな状態が関与する光学遷移過程を理論的に検討し、ドットとリングとを組み合わせた構造においては、二重極(ダイポール)ではなく多重極の関与する遷移の可能性が生じ、特異な性質を持つ光波を発生できる可能性のあることを見出した。
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Research Products
(40 results)