2006 Fiscal Year Annual Research Report
制震要素を用いた既存鋼構造建築物の統合的耐震性能向上技術の開発
Project/Area Number |
17206058
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
井上 一朗 京都大学, 工学研究科, 教授 (40029294)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
桑原 進 京都工芸織維大学, 工芸学部, 助教授 (10243172)
聲高 裕治 京都大学, 工学研究科, 助手 (80343234)
竹脇 出 京都大学, 工学研究科, 教授 (20155055)
辻 聖晃 京都大学, 工学研究科, 助教授 (00243121)
荒木 慶一 京都大学, 工学研究科, 助教授 (50324653)
|
Keywords | 鋼構造 / 制震要素 / 機械式接合 / 耐震補修・補強 / 非破壊検査 |
Research Abstract |
本年度の研究実績は以下の3項目にまとめられる。 1 高力ボルト接合を用いた制震要素の開発 (1)前年度に提案し、実験を実施した間柱型制振ダンパーを既存鋼構造建物に設置する方法として、制振ダンパー上下に配置した枕材を、天井の鋼梁には高力ボルトで接合し、コンクリート床スラブにはモルタルとPC鋼棒を用いて接合する方法を提案した。また,この接合部が有する耐力を検証するために,枕材とコンクリート床スラブの接合面が有するせん断耐力を把握するための実大実験を実施した。 (2)実験の結果、モルタルとコンクリートの打継ぎ面におけるせん断破壊は、モルタルに比べて強度が低いコンクリートの破壊によって生じ、破壊時のせん断応力度はコンクリートの割裂強度の6割程度であることを明らにした。 2 板波を用いた鋼材の非破壊検査による既存建築物の保有構造性能評価技術の開発 超音波の一種である板波を用いて平板のクラックを検出する実験を行い、損傷指標としてクラックの透過波の到達時刻における振幅の低減を用いることを提案し、時間-周波数解析を用いた具体的な損傷指標を提示した。また、本損傷指標を用いれば板幅の1/15程度の小さな損傷であっても損傷を検出できることを示した。 3 補修・補強計画技術の開発 補修・補強計画では地震応答の評価が不可欠であるが、実務設計で一般的に用いられる弾塑性時刻歴応答解析に必要となる計算量は静的解析に比べて格段に大きい。本研究では、複素固有値解析に基づく拡張CQC法に対して数理統計手法による補正を行い、少ない計算量で弾塑性時刻歴応答を予測し、制震要素の配置量を効率的に求められる最適設計法を提案した。さらに、塑性ヒンジ法を用いた鋼構造骨組の弾塑性解析法の安定性を高めるために、降伏曲面の特異点に関する問題点を解決する手法を提案した。
|