2005 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17206066
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Research Institution | Nagaoka University of Technology |
Principal Investigator |
高田 雅介 長岡技術科学大学, 工学部, 教授 (20107551)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
岡元 智一郎 長岡技術科学大学, 工学部, 助教授 (60313566)
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Keywords | 水素ガスセンサ / 室温作動型 / 光検知方式 / Pd薄膜 / 逆スパッタリング / オプティカルセンサ |
Research Abstract |
本基盤研究では、パラジウム(Pd)薄膜の光学的性質が水素化に伴って変化する現象をオプティカル水素ガズセンサに応用し、本センサの高耐久性化に関する検討を行っている。これまでにガラス基板上のPd薄膜は優れた水素検出感度と応答・回復特性を示すことがわかっている。しかし、Pd薄膜は膜厚が数十nm以上になると水素吸蔵時に約10%もの堆積膨張が発生するため、繰り返し水素を検知することによりPdが基板から剥離するという耐久性の問題を有していた。そこで、本年度はPd薄膜と接触するガラス基板表面の改質を行うことにより、薄膜-基板間の界面強度を向上させ、高耐久性を有するセンサを実現させることを研究の目的とした。ガラス基板の改質にはR.F.マグネトロンスパッタリング装置を用いた逆スパッタリング処理を採用した。ガラス基板改質の効果を調査するため、基板に逆スパッタリング処理を施し作製したPd薄膜センサの基板-薄膜間の界面強度を調査した。また、逆スパッタリング時の出力を変化させ作製した薄膜センサの耐久性について調査した。さらに、上記の基板改質を行った試料について薄膜を10nm〜100nmと変化させて作製したPd薄膜の耐久性についても調査した。 基板-薄膜間の界面強度を測定した結果、ガラス基板に逆スパッタリング処理を施し作製したPd薄膜センサは、逆スパッタリングを施していないセンサに比べ基板-薄膜間の界面強度が格段に向上することがわかった。 薄膜センサの耐久性を調査した。その結果、出力100Wにて基板の逆スパッタリングを行い作製した薄膜センサよりも、出力200Wにて作製した薄膜センサの方が高い耐久性を有していることを確認した。逆スパッタリングの出力を増加させることで、高耐久性を有するセンサを作製できることを見出した。 Pd膜の膜厚依存性を調査した結果、これまで耐久性に問題を有していた膜厚数十nm以上のセンサにおいて、基板に逆スパッタリング処理を施すことによりセンサの耐久性が劇的に向上することを確認した。 本基盤研究において、繰り返し水素を検知してもPd薄膜の基板からの剥離を抑制し、耐久性の問題を解決できる見通しを得たことから、オプティカル水素センサの実用化が大きく前進したと考えられる。
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