2005 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイズシリカ微粒子を利用した新規シリカベース可視発光材料の創製
Project/Area Number |
17206068
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内野 隆司 神戸大学, 理学部, 助教授 (50273511)
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Keywords | シリカ微粒子 / 可視発光 / アルキルクロロシラン / 自己組織化膜 |
Research Abstract |
一次粒子径が7nmのアモルファスシリカ微粒子であるfumed silicaとオクタデシルトリクロロシランとを溶媒にペンタンを用いてアルゴン雰囲気中で反応させた。このようにして作製した試料をペレット状に成形し,窒素雰囲気中で150から600℃で加熱処理を施した。得られた試料の時間分解発光スペクトルを,フェムト秒パルスレーザーであるモードロックチタンサファイアレーザーの2倍波(350-420nm)を励起光として測定した。また,液体窒素冷却クライオスタットを用いて,測定温度を77から450Kまでの温度域で変化させながら,発光減衰過程の測定温度依存性を調べた。また,キセノンランプを励起光に用い,試料の定常状態発光測定もあわせて行った。実験の結果,アモルファスシリカ微粒子上に,オクタデシルトリクロロシランなどの直鎖アルキルクロロシランを反応させ,自己組織化膜を形成させる過程で,紫外光励起により可視域の幅広い範囲にわたる発光を示す物質が得られることを見出した。シリカ関連の発光材料としては,ポーラスシリカやナノシリコンなどが国内外でも精力的に研究されている。しかし,ポーラス材料はその多孔構造に起因して発光挙動は環境水分などの影響を受けやすく,安定した材料を作製するのが困難であることが指摘されている。今回見出した自己組織化膜を利用したシリカ微粒子は,自己組織化膜自身が安定であるだけでなく,直鎖構造は疎水基なので,大気中の水分を吸収しにくく,発光の経時変化も殆ど観測されていない。したがって,安定した発光材料という観点からも,本材料は特色ある材料であるといえる。
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