2006 Fiscal Year Annual Research Report
ナノサイズシリカ微粒子を利用した新規シリカベース可視発光材料の創製
Project/Area Number |
17206068
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Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
内野 隆司 神戸大学, 理学部, 助教授 (50273511)
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Keywords | シリカ / 微粒子 / 発光材料 |
Research Abstract |
本研究により、ナノサイズシリカ微粒子が、300℃程度の温度で加熱処理することで、バルクシリカガラスでは報告されていない青色発光を示すことを見出した。大気中300℃加熱後のナノサイズシリカ微粒子(一次粒子径7nm)の発光-発光励起スペクトルの等高線図から、430nm付近の青色発光が、250及び350nmの紫外光励起により誘起されていることが明らかとなった。また、300℃加熱試料の発光のピーク波長における、発光減衰過程を測定したところ、ナノ秒オーダーの非指数関数型減衰が観測された。興味深いことに、フュームドシリカで観測された青色発光と類似した発光挙動が、ポーラスシリコンなどのシリコン微結晶を表面酸化した試料からも観測されている。このことは、シリコン及びシリカ微粒子の両表面に青色発光を示す類似した欠陥構造が誘起されうることを示唆している。シリコン及びシリカ微粒子表面に共通する表面構造は水酸基であり、いずれの試料でも適度な熱処理により発光強度が増加することがわかっている。そこで、我々は、表面水酸基の脱水縮合過程で発光に寄与する欠陥構造が誘起されると考えた。この推察は、フュームドシリカ表面をシランカップリング反応等により化学的に修飾し、より多くの水酸基を導入した試料に加熱処理を施すことで、より強い発光が得られるという実験事実とも符合する。 我々は、予想される発光中心生成機構として新しい反応モデルを提案し、その提案した欠陥対に対して、その励起エネルギーを密度汎関数法を用いた量子化学計算により評価したところ、励起エネルギーの計算値は、実測の発光励起スペクトルのピーク位置(250、350nm)とよく一致することがわかった。
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