2005 Fiscal Year Annual Research Report
外来侵入アリ類と融合コロニー形成に関する総合的研究
Project/Area Number |
17207003
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Research Institution | Hokkaido University |
Principal Investigator |
東 正剛 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (90133777)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高田 壮則 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 教授 (80206755)
三浦 徹 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助教授 (00332594)
久保 拓弥 北海道大学, 大学院・地球環境科学研究院, 助手 (80344498)
長谷川 英祐 北海道大学, 農学部, 助教授 (40301874)
伊藤 文紀 香川大学, 農学部, 教授 (50260683)
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Keywords | 融合コロニー / 外来侵入アリ / 真社会性 / 血縁認識 / アルゼンチンアリ |
Research Abstract |
アルゼンチンアリを、侵入定着が確認されている山口・広島地域6箇所、神戸、愛知県田原市の計8箇所にて採集し、100%エタノールに保存したのち、DNAを抽出した。各箇所64個体について、8組のプライマーを用いてPCR増幅を行い、ABI3100オートシーケンサーのGENE SCANプログラムを用いてDNA断片のサイズを判定し、頻度を求めた。このデータをもとに、対立遺伝子数、ヘテロ接合度とその期待値、ハーディーワインベルグ平衡からの偏り、地域間の遺伝距離(Fst)を求めた。遺伝距離については正確確率検定により地域間に有意差があるか否かを検定した。また、地域間の違いを主成分分析によって確認した。その結果、8地域は、1)柳井市、2)その他の山口・広島地域、3)神戸、4)田原市の4群に分かれた。このグルーピングは個体毎のアサインメントテストによって支持された。このことから、これらの地域個体群は日本国内で分散したのではなく、独立に3回もしくは4回侵入したと考えられる。また、大分、福岡、大阪、和歌山の瀬戸内海沿岸域でアルゼンチンアリ、沖縄県伊江島にてアカカミアリを探索したが、生息は確認されなかった。さらに、中部国際空港と成田空港で見つかったアルゼンチンアリの液浸標本を環境省から預かり、DNA分析を進めている。エゾアカヤマアリの融合コロニーについては、まず、電子顕微鏡によりエゾアカヤマアリの触角にもクロオオアリと同じ巣仲間意識感覚子があることを確認し、神経生理学的研究を開始した。併せて、巣内、融合コロニー内巣間、コロニー間の敵対行動を観察した。コロニー間ではほとんどの場合噛み付き行動が見られたが、巣内、巣間では余り見られなかった。しかし、口移し行動に類似した行動もコロニー間で見られたので、これが本当に友好的行動であるか否かの確認を進めている。
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Research Products
(11 results)