2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17207005
|
Research Institution | Rikkyo University |
Principal Investigator |
堀口 吾朗 Rikkyo University, 理学部, 准教授 (70342847)
|
Keywords | ヘテロブラスティー / SPL15 / 補償作用 / fugu5 / AVP1 / 液胞 / プロテインボディー |
Research Abstract |
本研究は、植物の葉の形態形成の際に、細胞伸長と細胞伸長とがどのように調和・統合されることで、一つのまとまりのある器官を形作るのかを、解明することを目的としている。今年度は、ヘテロブラスティーが早まることで、葉の細胞数が増加し、細胞伸長が抑制される#2017系統の解析を行った。その結果、#2017は転写因子をコードするSPL15にマイクロRNA耐性変異を持つことが明らかになった。いくつかのSPL遺伝子をターゲットとする、miR156の過剰発現体では、ヘテロブラスティーの進行が抑制されるとともに、葉の細胞数は減少し、細胞サイズは増大した。また、遺伝学的解析の結果、この変異が示す、細胞数と細胞サイズの変化は、ヘテロブラスティーを制御するARF3/ARF4やtasiR-ARFとは独立の経路の異常であること、細胞数の減少によって、細胞伸長の増大が引き起こされる補償作用とも独立に生じていることが明らかになった。 補償作用に関しては、細胞伸長の速度が速まるタイプと、伸長時間が長く持続するタイプがこれまでに明らかになっている。後者の補償作用を引き起こす、fugu5変異株の詳細な解析も行った。興味深いことに、fugu5を培地で生育させると、細胞数が完全に野生株レベルまで回復し、その結果補償作用も抑制されることが明らかになった。培地成分の検討の結果、sucroseがfugu5の表現型の抑制を抑制する効果を持つことが明らかになった。fugu5の原因遺伝子を同定した所、液胞膜に存在するH^<+>-pyrophosphataseをコードするAVP1であることが判明した。子葉に含まれる貯蔵タンパク質を含むオルガネラであるプロテインボディーは、発芽とともに融合し、液胞膜へと発達しつつ、その内部のタンパク質を消化し、発芽時に必要なアミノ酸を供給している。fugu5の子葉では、プロテインボディーの融合は起きるものの、その後のタンパク分解が非常に遅くなっており、このことが、細胞増殖を低下させる一因となっていると考えられる。
|
Research Products
(18 results)