2006 Fiscal Year Annual Research Report
微小管端のダイナミクスとナノレベルの構造からみた陸上植物の微小管形成機構の進化
Project/Area Number |
17207006
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
峰雪 芳宣 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 教授 (30219703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
唐原 一郎 富山大学, 大学院・理工学研究科, 助教授 (60283058)
中井 朋則 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助手 (60347531)
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Keywords | 微小管形成中心 / ナノマシン / 陸上植物 / 電子線トモグラフィー |
Research Abstract |
動物は中心体を持つのに、なぜ植物は中心体を持たないのか?この古典的な細胞学の問題は未に解決していない。中心体は中心粒とその周りの物質から構成される細胞内構造で、中心粒周辺にガンマチューブリンを含む数種類の分子で構成される微小管形成の種になる構造(ガンマチューブリンリング複合体)が多数存在し、微小管形成中心(MTOC)として機能する。植物でもガンマチューブリンが存在し、MTOCとして機能していると考えられるが、植物のMTOCは分散して分布する。本研究では、微小管の両端に存在しそのダイナミクスを制御しているナノマシンが陸上植物の進化の過程でどの様に変わって行ったかを、加圧凍結・電子線トモグラフィー法を使ったナノレベルの構造解析と、本申請で導入する蛍光プローブを使ったライブイメージング法を使い解析し、"なぜ陸上植物は中心体なしの微小管形成システムを構築するようになったのか"という疑問に解答することを目的としている。本年度は、共焦点レーザー顕微鏡とTIRF光学系システムを使って微小管のダイナミクスを観察するシステムを構築し、昨年タマネギを使った加圧凍結・電子線トモグラフィー法で見つけた、間期表層微小管の重合開始状態とライブイメージングでの観察結果を比較することを試みた。現在、高倍観察によるフォーカスのずれの対策がうまくいっておらず、来年度の課題として残った。一方、ガンマチューブリンリング複合体が陸上植物でどのように変化していったか考える第一歩として、中心体を持つ最も高等な植物である裸子植物イチョウのガンマチューブリン遺伝子を解析し、イチョウのガンマチューブリンでは被子植物とコケ・シダ植物で異なっている15個のアミノ酸部位の大部分がコケ・シダ型であることが判明した。この意義について今後検討が必要である。
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