2008 Fiscal Year Annual Research Report
微小管端のダイナミクスとナノレベルの構造からみた陸上植物の微小管形成機構の進化
Project/Area Number |
17207006
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Research Institution | University of Hyogo |
Principal Investigator |
峰雪 芳宣 University of Hyogo, 大学院・生命理学研究科, 教授 (30219703)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
中井 朋則 兵庫県立大学, 大学院・生命理学研究科, 助教 (60347531)
唐原 一郎 富山大学, 大学院・理工学研究科, 准教授 (60283058)
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Keywords | 植物 / ナノマシン / 細胞・組織 / 生体分子 / 微小管形成中心 |
Research Abstract |
動物は中心体を持つのに、なぜ植物は中心体を持たないのか?この古典的な細胞学の問題は未に解決していない。動物の中心体には、微小管形成の種になる構造(γチューブリンリング複合体)が存在し、微小管形成中心(MTOC)として機能する。植物でもγチューブリンがMTOCとして機能していると考えられるが、植物は中心体がなく、MTOCは分散している。本研究では、電子線トモグラフィー法とライブイメージング法での微小管ダイナミクスの解析と、微小管形成中心に存在する重要なタンパク質のひとつであるγチューブリンの構造解析を行い、“なぜ陸上植物は中心体なしの微小管形成システムを構築するようになったのか"という疑問を解明することを目標に研究を行った。陸上植物、特に、進化の過程で中心体が消失する時期に当たる裸子植物に注目して、γチューブリンの構造変化が陸上植物の微小管構築システムの変遷と関連あるのかどうか調べた結果、中心体のない植物(ヒノキ、マオウ)も中心体のある植物(イチョウ、ソテツ)も、γチューブリンのアミノ酸配列ではともに被子植物よりもシダ・コケ植物に近いことが分かった。一方、分裂酵母のγチューブリン遺伝子を高等植物シロイヌナズナのγチューブリン遺伝子と入れ換えた形質転換分裂酵母を作製すると、温度条件によってその生育速度と形態以上が異なってくるため、高等植物のγチューブリンは完全には分裂酵母のγチューブリンの機能を相補することができないことが分かっている。そこで、この手法を用いて、裸子植物イチョウと緑藻のシャジクモのγチューブリンが分裂酵母のγチューブリンの機能を相補できるかどうか調べた。その結果、分裂酵母のγチューブリン機能の一部が一部、陸上植物の進化の過程で徐々に失われて来たことが分かった。これと、陸上植物の微小管端の構造変化については現在解析中である。
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