2005 Fiscal Year Annual Research Report
線虫遺伝学とメタボローム解析を利用した生体膜リン脂質の脂肪酸鎖多様性の意義の解明
Project/Area Number |
17207008
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
新井 洋由 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 教授 (40167987)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高根沢 康一 東京大学, 大学院・薬学系研究科, 助手 (90345257)
井上 貴雄 東京大学, 大学院薬学系研究科, 助手 (50361605)
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Keywords | 線虫 / リン脂質 / 脂肪酸 / 脂肪酸転移酵素 |
Research Abstract |
生体膜を構成するリン脂質には炭素数や二重結合の違いにより様々な脂肪酸鎖が結合している。このような「リン脂質脂肪酸鎖の多様性と非対称性」は昔から良く知られているが、その形成機構や生理的意義はほとんど明らかになっておらず、生体膜リン脂質分野における大きな課題である。我々は、遺伝学的解析が容易な線虫C.elegansを用いて、リン脂質脂肪酸鎖の多様性・非対称性に関与すると考えられる新規脂質関連遺伝子について、網羅的に欠損変異体を作製し、その生理機能ならびに反応機構を解析している。平成17年度における成果は以下のとおりである。 1.新規脂肪酸転移酵素遺伝子ファミリーの機能と生理的役割の解明 高等動物と相同性を有し、かつ機能未知であるファミリー分子すべて(acl-4,5,8,9,10,11,12,13,14)について、欠損変異体を樹立した。これらの変異体のうち、acl-10変異体は運動性に著しい異常が観察され、筋肉の収縮機構が過度に活性化していることが明らかになった。さらに、acl-10が筋肉周辺組織において脂質メディエーターを産生し、これが細胞間シグナル分子として筋収縮を制御する可能性を示した。一方、神経細胞に発現するacl-4の変異体では、シナプスにおけるアセチルコリンの放出が低下することにより、運動性に異常を示すことが分かった。 2.ホスファチジルイノシトール特異的アラキドン酸転移酵素の同定 アラキドン酸添加による低温感受性の回復を指標とした評価系において、線虫全遺伝子を網羅的に発現抑制(RNAi)し、この現象に関わる遺伝子群を同定する。既に複数の候補遺伝子を得ており、スクリーニングを継続している。また、アラキドン酸転移活性を高感度かつ簡便に検出するアッセイ系を構築した。
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Research Products
(3 results)