2008 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
17207010
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
饗場 弘二 Nagoya University, 大学院・理学研究科, 教授 (20025662)
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Keywords | small RNA / 翻訳制御 / mRNA分解 / Hfq / 塩基対形成 / グルコース応答 / 代謝ストレス / 品質管理 |
Research Abstract |
大腸菌のsmall RNAの1つであるSgrSは、糖リン酸蓄積時にその転写が誘導され、グルコース透過酵素であるII CB^<Glc>をコードするptsG mRNAのサイレンシングを引き起こす。この抑制にはRNAシャペロンであるHfq及び主要エンドリボヌクレアーゼであるRNase Eが関与している。SgrSはHfqを介して、ptsG mRNAの翻訳開始領域を含む約30塩基と部分的に塩基対を形成し、リボソームの翻訳開始領域への結合を阻害し、ptsG mRNAの翻訳が抑制される。また、Hfq/SgrSとの相互作用によってRNase EがptsG mRNA上にリクルートされ、速やかにmRNAが不安定化される。Hfqと相互作用できないRNase E変異株では速やかなmRNAの分解は起こらないものの、翻訳は抑制されたままであったことから、SgrSによるptsG mRNA抑制系においては、翻訳の阻害が第一義的であると考えられる。 本年度は、これまでの知見を基にSgrSの配列を組み換え、ptsG mRNAの様々な領域を標的とするSgrS組換体を構築し、その影響を解析した。ptsG mRNAの翻訳開始領域を含む完全に相補的な30塩基をクローニングしたSgrS組換体は、Hfq及びRNase Eに依存してptsG mRNAを不安定化し、II CB^<Glc>の発現量を劇的に減少させた。次にptsG mRNAの翻訳開始領域を含まない5'非翻訳領域を標的とするSgrS組換体を複数構築した結果、いくつかのSgrS組換体はHfq及びRNase Eに依存してptsG mRNAの不安定化を顕著に促進した。これはSgrS/Hfqを介してRNase EがptsG mRNA上にリクルートされればmRNAが分解されることを示している。一方、これらのSgrS組換体のII CB^<Glc>発現抑制効果は穏やかであった。これらの結果は、Hfq結合性のsRNAによるRNAサイレンシングにおいては翻訳の阻害が第一義的であり、RNase Eによる標的mRNAの不安定化がサイレンシングの主な原因ではないことを改めて示すものである。
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Research Products
(5 results)