2006 Fiscal Year Annual Research Report
MAPキナーゼカスケードによるシグナル伝達ネットワーク
Project/Area Number |
17207012
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
松本 邦弘 名古屋大学, 大学院理学研究科, 教授 (70116375)
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Keywords | シグナル伝達経路 / MAPキナーゼカスケード / ストレス / NF-κB / TAO2 / JNK |
Research Abstract |
TAK1 MAPキナーゼキナーゼキナーゼは、複数の細胞内伝達経路で重要な働きをしている。今年度は、ストレスシグナルに注目し、TAK1が果たす役割とその制御機構の解明を目指した。酸化ストレス、紫外線ストレス、浸透圧ストレス、環境毒素のヒ素ストレス経路を検討した。その結果、TAK1はほとんどのストレスで活性化されるが、特に浸透圧ストレスによって強く活性化されること、TAK1の欠損によって浸透圧ストレスによるJNK MAPキナーゼの活性化が著しく減弱することを見出した。このことは、TAK1は浸透圧刺激によるJNKの活性化に重要であることを示している。また、浸透圧シグナルによってTAK1が強く活性化されているにもかかわらず、TAK1の下流のひとつであるNF-κB経路が全く活性化されないことを見出した。さらに、TAK1の結合因子であるTAO2が、TAK1によるJNKを促進する一方で、TAK1とIKKの結合を阻害し、TAK1によるIKK-NF-κBの活性化をブロックすることを見出した。これらの結果から、TAO2はTAK1を浸透圧刺激に適切に応答するよう、JNKのみを活性化するように制御する働きをしていると考えられる。このような刺激特異的MAPキナーゼカスケードの制御機構は、さまざまな経路において存在し、シグナル伝達ネットワークが正しく働くために重要な働きをしていると推測される。
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Research Products
(4 results)