2005 Fiscal Year Annual Research Report
鮮更新世の初期人類をも含む哺乳動物相の進化古環学的研究
Project/Area Number |
17207017
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
諏訪 元 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (50206596)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
高槻 成紀 東京大学, 総合研究博物館, 助教授 (00124595)
河野 礼子 独立行政法人国立科学博物館, 人類研究部, 研究官 (30356266)
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Keywords | 初期人類 / 哺乳動物 / 古環境 / 咀嚼器 / 歯牙咬耗 |
Research Abstract |
本研究では、コンソ遺跡群の化石資料を主要な研究対象とし、アフリカの鮮更新世における初期人類をも含む哺乳動物相について、古環境の変遷にともなう種分化と哺乳動物コミュニティ構造の変遷と進化様式について、特に170万年前ごろ東アフリカにおこったとされている気候の乾燥化と関連し、実証的に論じることを目的としている。本年度の調査・研究は、以下の通り実施した。 1)エチオピクス猿人からボイセイ猿人の系統において、時間軸に沿って形態特徴の特殊化が進行したかどうか調べた。本年は、特にKGA10-570標本のCTデータの画像処理から新たに形状データを抽出し、200万年から140万年前のボイセイ猿人の歯牙形態についてデータ解析を進めた。その結果、160万年前以後のボイセイ猿人に大臼歯の大型化と複雑化の傾向が見出され、今後はさらに広範な形質について解析を進める必要が示された。2)コンソ遺跡群の哺乳動物相の調査に先立ち、現生のシカ標本を用いてマイクロウェアの方法論的研究を進めた。現在までのマイクロウェアの研究の大きな制約は、多数の標本を自在に観察することが不可能であったため、画一的な指標にもとづいて研究がなされてきた。本研究では、多数の標本(レプリカ)と部位を効率よく観察できるサーフェス・ビューアを使用し、実際に食性データ既知の標本から、従来以上に適切な微細咬耗様式の評価法の確立を進めている。本年度においては、まずはシリコンレプリカを蒸着なしで500倍程度以上の倍率で観察するための標本処理法を確立し、次にブラウザー、グレーザー別食性既知のシカ標本の臼歯40標本程度について30から500倍率の観察を蓄積した。その結果、臼歯の部位ごとに食性と関連したと解釈できる微細表面形状様式が見出され、目下結果を体系化している。
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Research Products
(2 results)