2006 Fiscal Year Annual Research Report
植物ウイルスにおける分子擬態の解明とそれを利用したポティウイルスベクター群の開発
Project/Area Number |
17208004
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Research Institution | Utsunomiya University |
Principal Investigator |
夏秋 知英 宇都宮大学, 農学部, 教授 (10134264)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塚本 利朗 宇都宮大学, 遺伝子実験施設, 助教授 (30236864)
三好 洋 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助手 (80322519)
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Keywords | ポティウイルス / 分子機能 / カボチャモザイクウイルス / ズッキーニ黄斑モザイクウイル / カブモザイクウイルス / ウイルスベクター / eIF(iso)4E / VPg |
Research Abstract |
本研究では、植物ウイルスのうち(+)ssRNAをゲノムとするポティウイルスを用い、ウイルスの根本的な性状である「どのように宿主細胞を欺いて優先的にウイルスの遺伝情報を翻訳し、ウイルス核酸を増殖させ、抵抗性(ジーンサイレンシング)を回避し、全身感染するのか」という点について、ウイルスタンパク質を分子擬態という視点から捉え直してその機能を解明することを第一の目的としている。次に、ウイルスタンパク質の分子擬態を人為的に制御して、宿主範囲が狭く、宿主に病徴を引き起こさず、媒介昆虫で媒介されず、複数の外来遺伝子が挿入可能、という性状を持つより有用なウイルスベクターを開発することを第二の目的としている。本年度も各種ポティウイルスにおいて各種タンパク質を解析した。そのうち、カブモザイクウイルス(TuMV)のVPgタンパク質では、植物タンパク質のeIF(iso)4EとVPgが結合していることVPgに人工的に変異を導入すると感染が阻害されること、VPgには核酸分解能はないことを明らかにした。核膜局在性を有するP1タンパク質では、カボチャモザイクウイルス(WMV)やズッキー二黄斑モザイクウイルス(ZYMV)ではウイルス間で遺伝子の組換えがおきていることを見出した。ZYMVではジーンサイレンシングサプレッサー活性を有するHC-Proタンパク質では、ウイルス株の地域性とHC-Proの塩基配列に相関関係があることを明らかにした。また次年度以降の実験に供するために、TuMV、ZYMV、そしてインゲンマメ黄斑モザイクウイルス(BYMV)ではマーカーとなる緑色蛍光色素(GFP)遺伝子、あるいはその変異体である青(CFP)や黄色(YFP)の遺伝子をモデルとして組み込んだウイルスベクターを構築した。それらを接種したところ、異種の蛍光を組み込んだTuMVどうしは競合して同じ細胞内では増殖しないことを見出した。
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Research Products
(4 results)