2006 Fiscal Year Annual Research Report
昆虫幼若ホルモン(JH)の特異的阻害剤の開発とそれらを利用したJH作用機構の解明
Project/Area Number |
17208007
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
桑野 栄一 九州大学, 大学院農学研究院, 教授 (00108672)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
塩月 孝博 九州大学, 農業生物資源研究所, 研究チーム長 (80355734)
篠田 徹郎 九州大学, 農業生物資源研究所, 主任研究官 (10355620)
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Keywords | 幼若ホルモン / 抗幼若ホルモン / 早熟変態 / 幼若ホルモン生合成 / メチル基転移酵素 / アリルフォリン |
Research Abstract |
新規抗幼若ホルモン活性物質ethyl4-(2-benzylhexyloxy)benzoate(1)を見いだしたので、これをリード化合物として構造と活性生の関係を検討した。ベンゼン環パラ位のエトキシカルボニル基をエチル、アミド、カーバメート、イミン、オキシム等の置換基等に変換すると、早熟変態誘導(抗JH)活性は消失あるいは著しく低下した。また、メタ-エトキシカルボニル誘導体は全く活性生を示さなかったことから、パラ位のエトキシカルボニル基は活性生に必須であることがわかった。アルキル側鎖としてn-ブチルとn-ペンチルが最適であること、また、メトキシカルボニルメチルやエトキシカルボニルメチル基でも活性を有し、いずれも原子数4〜5個の場合に高い活性を示した。ベンジル部位ベンゼン環メタ位とパラ位に塩素、フッ素及びメチル基を導入すると、化合物1に比べ、高薬量で活性は上昇したが、低薬量での活性は低下した。一方、メトキシ基をパラ位に導入した場合(化合物2)、低薬量、高薬量とも90%以上の早熟変態誘導率であり、これまでのところ最も強い活性を示した。カイコ幼虫のアラタ体摘出法により化合物のJH活性を検定した結果、化合物1、2など早熟変態を誘導する化合物にはJH活性があることがわかった。前述のベンゼン環パラ位のエトキシカルボニル基は(JH活性発現にも必須であり、化合物の抗JH活性とJH活性の強さはほぼ比例していた。 化合物1の結合タンパク質を同定するために、1の部分構造をリガンドとしたアフィニテイクロマトグラフィを行った。その結果、体液中には1と特異的に結合する複数のタンパク質が存在することがわかった。その中で最も大量に単離できた分子量約75kDaのタンパク質のアミノ酸配列を解析したところ、昆虫貯蔵タンパク質の一種で、JHとの関連性も報告されているarylphorinと一致した。
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Research Products
(2 results)