2006 Fiscal Year Annual Research Report
酵母Ca2+シグナルの機能に関する基礎および応用研究
Project/Area Number |
17208009
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
宮川 都吉 広島大学, 大学院先端物質科学研究科, 教授 (10116676)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
門田 重利 富山大学, 和漢薬研究所, 教授 (90115163)
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Keywords | Ca2+シグナル / Saccharomyces cerevisiae / 細胞周期 / 浸透圧応答経路 / ラディシコール |
Research Abstract |
Ca^<2+>による細胞周期G_2期制御の全貌および生理的意義を解明するため、当研究室ではこの経路に機能欠損を有する変異株を多数取得し、順次解析を進めている。この研究は順調に進展しつつある。興味深い成果が多く得られているが、ここでは基礎研究と応用研究からそれぞれ一つずつ選び、成果を述べる。 1)Ca^<2+>シグナル伝達における浸透圧応答経路分子の新規機能 Zds1欠損株のCa^<2+>感受性を抑圧する遺伝子欠損の解析から浸透圧応答経路の分子をコードするSSK1遺伝子が得られた。SSK1の下流で機能重複遺伝子SSK2/SSK22が機能することが知られるが、これら両遺伝子を破壊してもSSK1破壊と同等な抑圧効果が得られた。しかし、さらに下流の因子PBS2およびHOG1を破壊では、そのような効果が得られなかった。SSK1破壊によりCa^<2+>シグナル伝達の最下流の分子Cln2およびSwe1が不活性な状態で高蓄積することが示唆された。SSK1--SSK2/SSK22経路は、浸透圧応答経路とは別個の機能により細胞周期制御因子を制御することが明らかになった。 2)Ca^<2+>シグナル伝達に作用する薬剤の取得およびその作用機構 我々が開発したCa^<2+>シグナル伝達に作用する物質を酵母の増殖賦活化を指標として、正の選抜で取得するユニークなスクリーニング系(ポジティブスクリーニング)を利用し、微生物二次代謝産物のスクリーニングを行い、ヒットサンプルを得た。ポジティブスクリーニング系の特徴を明らかにするために、得られた一つの活性物質ラディシコール作用点の解析を行った.ラディシコールはCa^<2+>による細胞周期制御の最下流付近の分子Swe1キナーゼを阻害することが遺伝的に明らかになった。実際に、Ca^<2+>で活性化されるSwe1キナーゼのタンパク量増加がラディシコールによって抑えられることを明らかにした。ラディシコールは、Hsp90の阻害剤であることが知られるが、Ca^<2+>により誘導蓄積されるSwe1キナーゼは、この機構によって不安定化され、同タンパク質量が分解消去あれることが示された。
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