2006 Fiscal Year Annual Research Report
食品劣化及び生体老化における脂質グリケーション反応の分子基盤解析
Project/Area Number |
17208011
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
宮澤 陽夫 東北大学, 大学院農学研究科, 教授 (20157639)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
白川 仁 東北大学, 大学院農学研究科, 助教授 (40206280)
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Keywords | 脂質グリケーション / 高血糖障害 / アマドリ型糖化リン脂質 / 食品の品質・栄養価・機能性 / 精密化学構造解析 / 免疫定量法開発 / 血管新生誘発 / 脂質グリケーション阻害成分 |
Research Abstract |
本年度は下記の研究を行った。 (1)脂質グリケーション産物による食品の品質・栄養価・機能性の変化 昨年度に脂質グリケーションを抑制できるビタミンB6群のピリドキサールリン酸(PLP)を見出した。その阻害メカニズムは、PLPのアルデヒド基とエタノールアミン脂質(PE)のアミノ基の脱水縮合であり、このため脂質グリケーション(PEとグルコースの反応)が競争的に阻害されることがわかった。 (2)高血糖における生体膜脂質グリケーション産物の検出定量と精密構造解析 ラット臓器中のAmdori-PEをLC-MS/MSで定量した。グリケーションの基質になるPEが他臓器より多く分布する脳での糖化脂質の蓄積を証明した。この結果より糖尿病性痴呆への脂質グリケーションの関与が示唆された。 (3)生体内グリケーションの新指標としてのアマドリ型糖化脂質分析の有効性の検証と簡易免疫定量法の開発 Amadori-PEの高血糖障害指標(糖尿病指標)としての臨床活用に向け、Amadori-PEの免疫定量法の開発に着手した。Amadori-PEをアルブミンとともにマウスに数回免疫し、抗血清を得、その血清価を評価している。 (4)脂質グリケーション産物による血管新生誘発などの細胞障害性とその作用の分子機構の解明 これまでに糖尿病性網膜症の原因とされる血管新生がAmadori-PEによって引き起こされることを培養細胞試験で証明した。この血管新生促進メカニズムを調べ、内皮細胞増殖へのAmadori-PEの関与が強く示唆されため、現在、遺伝子レベル解析を進めている。 (5)糖尿病予防に向けた脂質グリケーションを抑制できる食品成分の同定と効能評価 種々の食品・農産物から脂質グリケーションを抑制できる成分を探索し、これまでに見出したPLPに匹敵する活性を示す成分を同定しつつある。糖尿病予防に着目した効能評価(動物実験)を経て、今後のヒト試験につなげる予定である。このように、本研究は計画通りに順調に推移している。
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Research Products
(2 results)