Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
菊池 潔 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (20292790)
末武 弘章 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 助教 (00334326)
小川 和天 東京大学, 大学院・農学生命科学研究科, 教授 (20092174)
宮台 敏明 福井県立大学, 生物資源学部, 教授 (20157663)
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Research Abstract |
今年度の大きな成果として,まずトラフグ連鎖地図の完成があげられる.マーカー数約1200からなるこの連鎖地図は,全ゲノム配列の86%に染色体上の位置情報を与える極めて詳細なもので,これにより,マーカー選抜育種や,表現形を支配する遺伝子の特定に向けて強力な武器が得られたことになる.現在,論文執筆を進めており,近く全データをネット上で公開される予定である. トラフグとクサフグの交雑第1世代とトラフグとを掛け合わせた戻し交配世代(BC)に,トラフグ養殖に重大な被害を与える寄生虫(Heterobothrium okamotoi)による攻撃試験を行った個体について,連鎖解析が終了した.寄生虫の数に連鎖する遺伝子座,寄生虫の成長に連鎖する遺伝子座,それぞれ2つずつ見出され,寄生数と寄生虫の成長とが別々の遺伝子に支配されていることがわかった.寄生数に関する遺伝子座の1つでは,トラフグのアリル間でも差が認められ,種間差を規定しているだけでなく,トラフグ内での寄生虫耐性を決める遺伝子座でもあることがわかった. 免疫関連遺伝子の探索も引き続き精力的に進め,感染経路となる消化管や体表への抗体分泌に関わる因子,pIgRの役割を魚類で初めて明らかにした.また,免疫応答の出発点となる抗原提示細胞を魚類で初めて特定することができた.さらに,免疫担当細胞が必要な場所に移動する際の指標となるケモカインも明らかにした.これらの成果は,魚類の免疫系の理解が飛躍的な深化に結びつき,表面に付着した寄生虫に対して生体がどのように応答するのかを解明することにつながるものである.これらの成果により,今後育種へと展開して行く道筋をつけることができたと考えている.
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